OLEDにおいて、一重項励起子開裂を経て生成された三重項励起子を、エレクトロルミネッセンス(EL)として利用可能であることを初めて実証しました。本手法により、100%が理論限界とされてきた励起子生成効率をさらに高めることが可能となります。
本研究での実証により、近赤外有機EL素子からの高強度エレクトロルミネッセンスが実現でき、センサー用や通信用光源などにおける新しいアプリケーション用途を開拓できると期待されます。
九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センターの中野谷 一 准教授、永田 亮 工学府博士課程学生、安達 千波矢 センター長らの研究グループは、励起子生成効率注1)100%以上を示す有機EL素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)の開発に成功しました。
本研究では、1つの一重項励起子から2つの三重項励起子を生成する「一重項励起子開裂(singlet fission)」という遷移過程に着目し、一重項励起子開裂を示す有機分子をOLEDのホスト材料、近赤外発光を示す有機金属錯体を発光色素とすることで、一重項励起子開裂過程を経て生成された三重項励起子を、発光ドーパントからのエレクトロルミネッセンス(EL)として利用可能であることを実証したものです。
本手法により、従来、100%が理論限界とされてきた励起子生成効率をさらに高めることが可能となります。これにより、OLEDの高輝度・高強度化が実現でき、センサー用の光源や通信用光源などにおける新しいアプリケーション用途を開拓できると期待されます。
本研究成果は、2018年7月5日(日本時間)に、ドイツの科学雑誌「Advanced Materials」誌のオンライン速報版で公開される予定です。
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