日東電工は電気自動車(EV)・自動運転車向け部材に本格参入する。EV用モーターの漏電を防ぐ部材を製品化するなどして、事業売上高を2026年3月期に現状の3倍の400億円に増やす。ニッチ(隙間)な新市場に積極参入し、トップシェアを目指す「グローバル・ニッチ・トップ」戦略の一環で、スマートフォン(スマホ)向け部品が連結売上高の6割を占める「一本足経営」からの脱却を目指す。
今回、製品化した絶縁紙は接着剤を改良して耐油性を高め、EVモーターでの利用が可能になった。既存の製品を技術で改良して新機能を持たせ、新市場に投入し、新事業を創出する。日東電工は「三新活動」と呼ぶ手法で半世紀以上にわたり、次々と新事業を創ってきた。


参入するのは競合相手が少ない中規模市場に絞る一方、トップかそれに準ずるシェアを追求する。価格競争を避けるとともに、業界の最新情報が自然に入る環境をつくり、常に最先端の製品を開発し続けるのがグローバル・ニッチ・トップ戦略の根幹だ。
その結果、核酸医薬の受託製造の世界シェアは約6割、液晶テレビ向けの薄型偏光板でも約3割を占める。半面、コモディティー化した領域からはためらわずに撤退する。1月には中国・蘇州にあるパソコン向け偏光板やプリント回路基板の工場の閉鎖・譲渡を決定。一方、3月には同じ中国で高価格帯の大型テレビ向け薄型偏光板の工場が稼働した。
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