大阪大学大学院工学研究科の桑畑進教授と名古屋大学工学研究科の鳥本司教授らは、日亜化学工業との共同研究で、カドミウムを使わず、鮮やかな色で明るく発光する量子ドット(半導体の微粒子)蛍光体(写真)を開発した。
量子ドット核の表面を硫化ガリウムで覆う二重構造で、鮮やかさとエネルギー効率を確保した。環境規制強化に対応した高性能ディスプレーや照明、生命科学での生体観察などに応用できる。
量子ドット蛍光体は、10ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の半導体微粒子が紫外線など波長の短い光を吸収し別の色に光る仕組みを持つ。カドミウムは発光のスペクトル幅が狭く鮮やかな単色となるが、環境規制が進む。従来のカドミウムフリー量子ドットは鮮やかさに課題があった。
研究グループは硫化銀インジウムを核とする量子ドットを研究。表面の改良で発光の欠陥を解消できると考え、外側を覆う材料を選定した。量子ドット材料に不適切とみられていた非晶質の硫化ガリウムを表面に使うと、発光が鮮やかで効率よくなった。今後、色数を増やして早期の実用化を目指す。
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