2016年3月期に312億円の債務超過となり、同年8月に東証1部市場から2部市場へ“降格”の指定替えという屈辱を味わったシャープ。しかし、同じ月に台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、新しく就任した戴正呉社長の経営改革が奏功し、17年3月期は債務超過を解消、同年12月に東証1部へ見事に復帰を果たした。
その戴社長の改革の1つが「信賞必罰」の人事制度。17年度の賞与は16年度実績の2倍の平均年間4カ月分へアップしたが、一方で業績への貢献度に応じて最も多い人で8カ月、逆に少ない人で1カ月という差をつけた。総賃金に占める賞与の割合は大きく、従業員間での“年収格差”に直結する。
そんな大胆な改革に当たって導入されたのが「役割等級制度」で、「役割、つまり『仕事の価値』に応じて賃金を支払う制度で、基本的には『職務給』である。
日本企業の多くは『能力の価値』に賃金を支払う『職能給』をベースに運用していることが多いが、むしろ職務給がグローバルスタンダードだ」という。
たとえば、個々の仕事に応じたポイントをあらかじめ決めておく。そして、「8対1」の格差がつくよう再調整した社員の総獲得ポイントで賞与の原資を割り、1ポイント当たりの単価を算出し、賞与の支給額を決定していく。
肝心なのはヤル気を失わずに生産性をアップしていくことなのだが、「従業員1人当たりの営業利益」は17年3月期の第2四半期にプラスに転じ、急ピッチで回復している。ただし、同社をウオッチするみずほ証券シニアアナリストの中根康夫さんは「在庫の圧縮、調達条件や長期契約の見直しなど、徹底的なコストの削減によるところが大きい」という。
今後の課題は前述したような取り組みで従業員のモチベーションアップを図り、既存・新規事業で売上高を拡大していくことである。
従業員を含めたステークホルダーから不満の声は聞こえてこない。「それも全員が納得するだけの成果を上げているからだ」と公認会計士の山田真哉さんはいう。今後、同社の経営基盤が磐石になっていくと、日本企業の間でも同じような役割等級制度を導入する動きが出てくるかもしれない。
日本企業の多くは『能力の価値』に賃金を支払う『職能給』をベースに運用していることが多いが、むしろ職務給がグローバルスタンダードだ」という。
たとえば、個々の仕事に応じたポイントをあらかじめ決めておく。そして、「8対1」の格差がつくよう再調整した社員の総獲得ポイントで賞与の原資を割り、1ポイント当たりの単価を算出し、賞与の支給額を決定していく。
肝心なのはヤル気を失わずに生産性をアップしていくことなのだが、「従業員1人当たりの営業利益」は17年3月期の第2四半期にプラスに転じ、急ピッチで回復している。ただし、同社をウオッチするみずほ証券シニアアナリストの中根康夫さんは「在庫の圧縮、調達条件や長期契約の見直しなど、徹底的なコストの削減によるところが大きい」という。
今後の課題は前述したような取り組みで従業員のモチベーションアップを図り、既存・新規事業で売上高を拡大していくことである。
従業員を含めたステークホルダーから不満の声は聞こえてこない。「それも全員が納得するだけの成果を上げているからだ」と公認会計士の山田真哉さんはいう。今後、同社の経営基盤が磐石になっていくと、日本企業の間でも同じような役割等級制度を導入する動きが出てくるかもしれない。
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