住友化学は2019年度末までに液晶テレビ用偏光フィルム事業を再構築する。6月に中国の合弁会社を連結子会社化したのを機に日本と韓国、台湾を含むアジア4極での生産最適化を図る。韓台の液晶パネル大手は近年中国などへ生産をシフトしており、部材各社もサプライチェーンの見直しを迫られる。

情報電子化学部門の課題事業で10%以上の生産性向上を目指す。 住友化学は現在、大型液晶パネル用偏光フィルムを製造する日韓台中のプラントにおける生産品目見直しを進めている。顧客の生産実態と各プラント設備に合わせて最大限効率化できるようにフィルム幅やパネルの前面用、後面用ごとに集約して生産性を高める。



従来は韓国プラントの製品は同国の液晶パネル工場へ供給する場合が多かったが、近年は顧客の中国やベトナムなどへの生産シフトが加速。台湾も同様で、部材の生産地と消費地が異なるケースが増えていた。

各設備は顧客にひも付いて製造できるサイズも決まっているために稼働率が上がらず、偏光フィルム事業の収益低迷の原因だった。最新設備を有する中国を子会社化したことで、4極での生産最適化が図りやすくなる。

住友化学は各プラントの運転最適化を進めた上で、余剰になる一部ラインを停止する方針。他に利益改善策として事業全体に占める汎用品比率を下げて、内製の基材を用いた高付加価値品を拡販する戦略だ。

同社は09年以降ライン新設・改良で偏光フィルムの生産能力を50%以上増強してきた。ただ、技術の汎用化や液晶パネル市場の成熟による競争激化で製品への値下げ圧力が強まっている。

19―21年度の次期中期経営計画で情報電子化学部門の投下資本利益率(ROI)を18年度予想の5%弱から7%以上へ改善させる。液晶テレビ用偏光フィルム事業の構造改革が目標達成のカギを握っている。