「購入から4年以上経過したPC1台当たり、約35万円の損失が発生している」――日本マイクロソフトは10月17日、現状の「Windows 7」や「Office 2010」から最新のクラウド環境への移行に関する記者説明会で、PCを長く使うデメリットについてそう説明した。

 日本マイクロソフトは、2020年のWindows 7サポート終了に向け、現在中小企業のWindows 10など最新環境移行の啓蒙活動に取り組んでいる。

 同社は、中堅中小企業のIT環境を調査した。その結果、経年によるPCの故障率(修理率)は1年未満だと1%未満、3年だと20%と緩やかに増加していくが、4年では67%とはね上がることが分かったという。



 同社執行役員の梅田成二本部長(デバイスパートナー営業統括本部)は、「バッテリーの不具合や、OS立ち上がりの遅さ、メモリの寿命によるクラッシュなどのトラブルが4年目以降に頻発する」と分析。

 さらに、日本の中小企業のPC買い替えサイクルは5.4年と、米国の4.5年、グローバルの4.3年よりも長い傾向があるとする。

長期間型落ちのPCを利用することによるデメリットについて、調査会社の米Tech Aisleが行ったPC利用のコスト比較調査を梅田本部長が紹介。

 利用期間が4年未満のPC1台にかかるメンテナンスコストは322ドルで、生産性コスト(起動にかかる時間など、本来生産が可能だった時間を失うコスト)は1056ドル、計1379ドル(約15万円)であるのに対し、4年以上のPC1台にかかるそれぞれのコストは497ドル、2574ドルで計3071ドル(約35万円)という結果だった。

 「中小で最も使われているのは、15型・HDD・光学ドライブ付きのモデル。(差額の20万円で)新しいPCに買い替えた方が生産性も上がり、最新機器にすることで優秀な技術者の離職率を下げることにもつながるのではないか」(梅田本部長)と、Windows 10がインストールされた最新PCへの買い替えを促した。