陝西坤同柔性半導体科技 (Kuntech Semiconductor Technology)は陝西省の政府と協業で新しい 第6世代フレキシブルOLEDのファブを建設することを発表した。工場は陝西省の西安新区開発区に建設される予定である。全設備投資額は月産3万の基板投入能力につき、400億人民元/58億USDになると見込まれる。

設備導入は2020年1Qに予定されており、小規模テスト生産は2020年4Qから、本格量産は2021年3Qから開始される予定である。OLED生産設備への投資が低迷している中、新しいOLEDファブの建設は設備メーカーにとっては朗報である。

Kuntechは元々、産業用および自動車用のCNC工作機械、および冷間成形装置を主要事業としており、貿易会社でもあるが、EDOのシニアエグゼクティブだったJianhong Zhuoがディスプレイ事業部長に就任し同事業参入となった。

Zhuo氏はEDOで、2014年に中国で最初の5”HDと5.5”FHDのパネルを開発、2015年にはスマートフォン向け6”QHDと8”FHDの自動車用パネルを開発している。



一方で同社がこの建設に陝西省政府から資金調達できるかは未確認である。最近、群显科技(湖南省瀏陽市)工場や、Trulyの第6世代工場が遅れ続けていること、河南州 華瑞(Zhengzhou Huarui Optoelectronics) の第5世代LCD設備投資など、政府からの資金調達が未確定の案件が複数ある。

フレキシブルOLEDの需給見通しは、2018年では45%の供給過剰、今後数年間は供給過剰が引き続く見通しである(図1)。供給過剰の背景は、iPhone OLED製品の高価格戦略によるものであり、このためDSCCはAppleの2018年フレキシブルOLED需要を約85Mから約75M以下に減らすことになりそうである。

長期的には、フォルダブルOLEDはタブレットやノートブックのようなアプリケーションでも採用されていく為に、パネル面積が大きくなり、供給過剰は徐々に緩和していくことを期待したい。 一方、中国のリジッドOLEDメーカーにとって、2018年は厳しい時期で、価格下落により収益改善が難しく、供給先は少数のブランドに限定されていた。

しかし、価格下落によりリジッドOLED需要は増加傾向、2019年以降の供給タイト化が期待される。 上記のようなフレキシブルOLED供給過剰の状況下において、新規参入メーカーが出てくる背景は、現在の中国OLEDメーカーが投資を抑制しても、中国各地方政府が産業投資を必要としている、からであろう。

News Source: DSCC News Letter