韓国の大企業社員が受け取る給与は、米国、日本、フランスの大企業よりも多いことが分かった。韓国では大企業と中小企業の賃金格差が大きいだけでなく、一部大企業の社員は経済水準に比べ、行き過ぎた補償を受けていることになる。

 中小企業研究院のノ・ミンソン研究委員は26日、経済社会労働委員会が開いた「二極化解消と雇用創出」をテーマとする討論会で研究結果を発表した。それによると、各国の統計当局による資料を分析した結果、韓国の従業員500人以上の大企業の社員は昨年、月6097ドル(約69万3,500円)を受け取っていた。これは米国(4736ドル)、日本(4079ドル)、フランス(5238ドル)よりも多かった。各国の物価などを考慮した購買力平価(PPP)基準で計算した結果だ。韓国の大企業の社員は1人当たり国内総生産(GDP)の約2倍の賃金を受け取っているが、米国の大企業の社員が受け取る賃金は1.01倍だ。



 韓国の大企業と中小企業の賃金格差は主要国よりも大きかった。韓国の大企業社員の賃金を基準とした場合、従業員が10~99人の中小企業の賃金水準は大企業の57%だった。米国、日本、フランスの場合は69~73%だった。特に韓国の従業員5人未満の小規模事業者では、賃金水準が大企業の33%にすぎず、米国(79%)、日本(65%)、フランス(59%)に比べはるかに低かった。諸外国でも大企業と中小企業には賃金格差があるが、韓国ほど大きくはない。

 今回の討論会で、専門家は大企業を頂点とする下請け構造、中小企業の低い生産性などを原因に挙げた。一部の専門家は、大企業の正社員による労組の責任を指摘した。中央僧伽大社会学科のチョン・スングク教授は「大企業と中小企業の不平等構造で主に恩恵を受けているのが大企業の正社員だ。大企業正社員の高賃金を放置したまま、賃金の不平等を縮小することは不可能な考えだ」と主張した。韓国労働研究院労使関係研究本部のチョ・ソンジェ本部長は「大企業、政府系企業など賃金支払い能力が高い職場主体で労組が組織されており、労働条件の格差が広がった」と分析した。

 経済社会労働委員会の文成賢(ムン・ソンヒョン)委員長はあいさつで、「大企業の給料が高く、中小企業の給料は安い原因は、(大企業主体の)労組が存在する事業所と(中小企業主体の)労組がない事業所の差ではないのか。中小企業と非正社員がどのように交渉力を持つべきかを考える必要がある」と指摘した。