新放送を始める民放各局にしても、ピュア4Kと呼ばれる本来の画質を100%活かした番組はあまり制作せず、2Kで撮影したものをアップコンバート(高画質変換)してお茶を濁す見込みである。 このままでは12月1日から超高精細の4K・8K衛星放送が始まるというのに、実際はそれを見られるテレビを保有している人がほとんどいない。そればかりか、本当の高画質番組もあまり準備されてないという暗澹たる状況になりそうなのだ…。
なぜ4Kテレビは普及しなかったのか。 その背景には、テレビ全体の出荷量に見誤りがあったことが挙げられる。 実は、テレビ全体の出荷量は2000年代には年間1000万台近くあったのが、13年には534万台に落ち込んでいた。それなのに検討会は、14年以降にこれが挽回して、2020年には820万台まで増えると見込んだ。もちろん現実のテレビ出荷量は増えるどころか17年まで減り続け、427万台となった。
アナログからデジタルのハイビジョンへは、テレビが薄型になったこともあり、満足度は2倍ほど上がった。 ところが2Kと4Kの比較では、満足度はせいぜい1.2~1.3倍程度の差に留まる。それでテレビが5~10万円高くなるのでは、不要と思うユーザーが少なくないのである。
ことほど左様に新4K・8K衛星放送をめぐる状況は厳しい。 しかも新サービスの牽引役のNHKを除くと、民放キー各局にはあまり「やる気」が感じられないという事情もある。 これまでに発表されている12~1月の編成表によれば、放送開始の3日目からピュア4K(カメラや映像設備などが4Kに対応したシステムで制作した番組)は、わずか1割ほどしかない。しかも大半はニュース番組が占める。果たして大枚をはたいて、受信環境を整える価値があると思うユーザーがどれほど出てくるか…。Read full article
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