調査会社の英IHS Markitが2018年7月に発表した試算では、液晶パネルメーカーが現在の計画のまま工場の新増設を続けると、液晶ディスプレイの需給ギャップは18年の12%から21年には23%に拡大してしまい、大幅な供給過剰に陥るとみられている。すでに量産稼働し、段階的に生産を増やしている中国BOEに続き、19年初頭には中国CSOTも10.5世代(2940×3370mm)マザーガラスを用いた液晶パネル新工場を稼働させると見込まれ、需要の伸びを大きく上回る供給能力が上積みされるためだ。
こうした供給過剰を回避する方法は、液晶パネルメーカーが工場稼働率を大きく落として生産調整を実施するか、あるいは、古くなった液晶工場を閉鎖して生産能力を削減するかのどちらかしか選択肢はない。だが、前者の可能性は低い。シェア拡大を目指す中国メーカーが稼働率を下げるとは思えず、AUOをはじめとする台湾パネルメーカーもいまだ90%以上の高い稼働率を維持したままだ。
こうしたなか、注目を集めているのが、中国に次ぐテレビ用液晶パネルの生産能力を保有している韓国メーカー、具体的にはサムスンディスプレイ(SDC)とLGディスプレイ(LGD)の動向だ。スマートフォン用有機ELディスプレイというキャッシュカウを持っているSDCはともかく、有機EL比率が低く液晶が売り上げの80%以上を占めるLGDは液晶価格の下落が一気に収益を悪化させる。18年についても、1~6月は液晶パネル価格の下落によって競合他社よりも早く営業赤字に陥った。
中国の10.5G工場にパネルの生産コストで確実に劣るSDCとLGDが、19年のいつの段階で古い液晶工場を閉鎖し、需給調整のバランス化を図り、価格下落の調整役となるかが、19年ディスプレイ市場の大きなカギを握ることになる。Read full article
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