中国には、中国メーカーに部品を納入する日系の電子部品工場が数多く存在する。中国の華東地区に進出した日系A社の工場は、ファーウェイに部品を納入し、まさにファーウェイとともに成長してきた。  だが、状況は大きく変わりつつある。A社の中国人幹部によれば、「ファーウェイのスマホの中身は、中国企業が生産した電子部品への置き換えが進んでいる」というのだ。
 「中国企業は『できない』とは決して言わない。日本企業から見れば、彼らの仕事は“やっつけ仕事”でしかないけれど、それでもできてしまうから恐ろしい。果たして中国企業は、日本企業が四つに組んで戦える相手なのでしょうか」  日本の業界関係者からはこんな声が漏れる。「パソコンが“オール中国”でできるようになったのと同じように、スマホも早晩、その時代が来るでしょう」


 上海に隣接する江蘇省 蘇州市は、世界の電子機器メーカーの集積地として知られている。市内の工業団地には多くの下請けメーカーが集まり、中国第二の工業都市としての地位を築いてきた。
 その蘇州で、2017年から2018年にかけて日系工場の閉鎖が相次いだ。スマホ向けの中小型液晶パネルでは最大手といわれるジャパンディスプレイは2017年、中国に3カ所あった拠点のうち、バックライトの生産工場である深セン工場と、デバイスの組み立てを行っていた蘇州工場を売却した。
偏光フィルムで世界的シェアを持つ日東電工(大阪市)は、蘇州工場で行っていたモバイル系のプリント基板事業を日本メクトロン(東京都港区)に譲渡し、偏光フィルム事業については中国内の他の工場に移管させることで2018年1月に蘇州から撤退した。