中国経済は、深刻の度合いを深めている。中国の国内自動車で最大手の吉利汽車が、ドイツのダイムラー株の半分を売却して資金繰りを付けるほどの事態になっている。吉利は、国内の営業基盤の強味を生かして、海外同業の買収を手がけきた。その裏では、習近平国家主席との強い絆も取り沙汰されてきた。
吉利創業者の李書福氏は、習近平氏が「吉利を支援せずしてどの企業を支援するのか」と述べるほどの関係である。習氏とは、浙江省党委書記だった時代から親しい間柄にあると指摘されてきた。李氏の妻・彭麗娟は、習氏夫人の妹と言われる。この吉利が、資金繰りを付けるべく、ダイムラー株の半分を売却するとは、かなり追い込まれていることを物語っている。
吉利創業者の李書福氏は、習近平氏が「吉利を支援せずしてどの企業を支援するのか」と述べるほどの関係である。習氏とは、浙江省党委書記だった時代から親しい間柄にあると指摘されてきた。李氏の妻・彭麗娟は、習氏夫人の妹と言われる。この吉利が、資金繰りを付けるべく、ダイムラー株の半分を売却するとは、かなり追い込まれていることを物語っている。
『ブルームバーグ』(1月11日付)は、「中国の吉利、保有する独ダイムラー株の半分以上を売却-関係者」と題する記事を掲載した。
(1)「中国の浙江吉利控股集団は、ドイツの自動車メーカー、ダイムラー株の保有比率を9.7%から半分以下に減らした。事情に詳しい関係者が明らかにした。資産家の李書福氏が率いる吉利がダイムラーの筆頭株主になってから1年足らずで、持ち分を大きく減らした。吉利のダイムラー出資は中国の自動車会社にとって過去最大規模の海外資産取得だった。関係者は吉利が手放した株式の買い手は明らかにしなかった」
吉利が、ダイムラーの筆頭株主に躍り出たこと自体が驚きであった。中国の国内自動車メーカーが、そこまで経営力を付けたのか、という思いが強かった。だが、一年足らずで所有株の半分を売却せざるを得なかったのは、中国自動車不況の深刻さを窺わせている。その事情は、後で取り上げる。
(2)「非公開情報だとして関係者の1人が匿名に述べたところによれば、吉利はダイムラー株5.4%を手放した。吉利から今のところコメントは得られていない。米モルガン・スタンレーは10日、ダイムラー株を5.4%保有していると当局への届け出により開示した。関係者の1人によると、同社は他の保有者の代理としてダイムラー株を保持している」
吉利が手放したダイムラー株は、米モルガン・スタンレーに肩代わりされたようで、すでに当局への届け出を済ませている。これで、事実関係が確認された。
吉利は、昨年12月に急激な販売減に見舞われている。
『大紀元』(1月10日付)は、「18年中国自動車販売が不振、吉利汽車12月販売台数44%減」と題する記事を掲載した。
(3)「中国国内紙『華爾街見聞』8日付によると、吉利汽車が7日昨年1年間の販売状況を公開した。同社によれば、昨年12月グループ全体が中国市場での販売台数は8万6298台、前年同月比44%減った。昨年1年間の総販売台数は150万838台、前年比約20%増となったが、2018年販売目標である158万台には届かなかった。同社は、中国自動車市場の不確実性が拡大しているとして、2019年の販売台数目標を151万台に引き下げた」
昨年12月の販売台数が、前年比44%減とは異常な減り方である。これは、中国経済に急ブレーキがかかった結果だ。「突然死」を思わせるような激変である。中国の「信用収縮」が一挙に進んでいることを窺わせる。自動車は、ほとんどローンを利用している。高級車は銀行ローン、普通車はシャドーバンキングである。多分、シャドーバンキングが貸付を中止したのでないか。そうでなければ、このような事態は起らないはずだ。
(4)「米金融大手モルガン・スタンレーは3日、中国の内需縮小で今後中国自動車メーカーの売上げが低減すると予測し、吉利汽車の株価評価をこれまでの「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に下方修正した。これを受けて、吉利汽車の株価は3日にも、同8%安と大幅に下落した。新車販売の低迷などの影響で、吉利汽車の株価は昨年1年間49%下落した。また、2017年11月22日付けた最高水準の1株=29.15香港ドルから約60%急落した」
(1)「中国の浙江吉利控股集団は、ドイツの自動車メーカー、ダイムラー株の保有比率を9.7%から半分以下に減らした。事情に詳しい関係者が明らかにした。資産家の李書福氏が率いる吉利がダイムラーの筆頭株主になってから1年足らずで、持ち分を大きく減らした。吉利のダイムラー出資は中国の自動車会社にとって過去最大規模の海外資産取得だった。関係者は吉利が手放した株式の買い手は明らかにしなかった」
吉利が、ダイムラーの筆頭株主に躍り出たこと自体が驚きであった。中国の国内自動車メーカーが、そこまで経営力を付けたのか、という思いが強かった。だが、一年足らずで所有株の半分を売却せざるを得なかったのは、中国自動車不況の深刻さを窺わせている。その事情は、後で取り上げる。
(2)「非公開情報だとして関係者の1人が匿名に述べたところによれば、吉利はダイムラー株5.4%を手放した。吉利から今のところコメントは得られていない。米モルガン・スタンレーは10日、ダイムラー株を5.4%保有していると当局への届け出により開示した。関係者の1人によると、同社は他の保有者の代理としてダイムラー株を保持している」
吉利が手放したダイムラー株は、米モルガン・スタンレーに肩代わりされたようで、すでに当局への届け出を済ませている。これで、事実関係が確認された。
吉利は、昨年12月に急激な販売減に見舞われている。
『大紀元』(1月10日付)は、「18年中国自動車販売が不振、吉利汽車12月販売台数44%減」と題する記事を掲載した。
(3)「中国国内紙『華爾街見聞』8日付によると、吉利汽車が7日昨年1年間の販売状況を公開した。同社によれば、昨年12月グループ全体が中国市場での販売台数は8万6298台、前年同月比44%減った。昨年1年間の総販売台数は150万838台、前年比約20%増となったが、2018年販売目標である158万台には届かなかった。同社は、中国自動車市場の不確実性が拡大しているとして、2019年の販売台数目標を151万台に引き下げた」
昨年12月の販売台数が、前年比44%減とは異常な減り方である。これは、中国経済に急ブレーキがかかった結果だ。「突然死」を思わせるような激変である。中国の「信用収縮」が一挙に進んでいることを窺わせる。自動車は、ほとんどローンを利用している。高級車は銀行ローン、普通車はシャドーバンキングである。多分、シャドーバンキングが貸付を中止したのでないか。そうでなければ、このような事態は起らないはずだ。
(4)「米金融大手モルガン・スタンレーは3日、中国の内需縮小で今後中国自動車メーカーの売上げが低減すると予測し、吉利汽車の株価評価をこれまでの「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に下方修正した。これを受けて、吉利汽車の株価は3日にも、同8%安と大幅に下落した。新車販売の低迷などの影響で、吉利汽車の株価は昨年1年間49%下落した。また、2017年11月22日付けた最高水準の1株=29.15香港ドルから約60%急落した」
吉利の株価が、急落している状況では銀行も、吉利に新規貸出を止めているはずだ。こうなると、手持ち株の売却で資金繰りを付けるほかない。ダイムラー株はいずれ全株売却を迫られる感じである。中国経済の危機を示す一断面であろう。
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