iPhoneをはじめとするスマートフォン(スマホ)向けのパネルに偏った事業構造を改革し、ビジネスモデルの転換を目指すジャパンディスプレイ(JDI)。車載向けなど非スマホ向けのパネル事業の売上高比率を高めると同時に、完成品事業やB2C事業、パネル販売後も継続的に収益を生み出すリカーリング事業などへの参入に挑戦する。

 スマホ向けパネルの開発にリソースを集中してきたJDIに、新規事業を大きく育てるための技術力はあるのか。育てた技術を使って、どうやって新規事業を開拓していくのか。JDIの研究開発のトップで、技術戦略の責任者である、常務執行役員・CTOの永岡一孝氏に話を聞いた。



我々の中核技術はディスプレーパネルです。3大目標のうち2つは、このディスプレーパネルに関するものです。

 まず、皆が注目している有機ELです。パネルは開発できているので、これを高い歩留まりで量産できるか。つまり、生産性技術に照準が移っています。技術としては、2019年の量産に対して準備できると思います。これをしっかりとやり遂げる。これが2019年の最大の目標です。

 第2は、液晶パネルを使いたいというユーザーに向けて、液晶技術をさらに進化させることです。例えば、AR(拡張現実)用途に使える透明液晶ディスプレーや、曲げられるフレキシブル液晶ディスプレーの開発です。また、最近のLEDバックライト技術の進化によって、有機ELが優位とされるコントラスト性能についても、有機ELに勝るとも劣らない液晶パネルが実現できるようになりました。信頼性は液晶に軍配が上がりますので、「むしろ液晶の方が良い」という所が出てきています。信頼性への要求が厳しい自動車メーカーから聞く話です。

 そして第3は、センサーです。センサーは欠かせないものになっています。我々は「何かのついでに検出する」というセンサーを作ることで、特徴を発揮していきたいと考えています。指紋センサーも、“空中タッチ”のようなホバリングセンサーも、この考えと一致します。形状としては、曲がるフレキシブル基板や伸び縮みするストレッチャブル基板を使ったセンサーも、我々の特徴を生かしたセンサーとして開発中です。このような技術を集めることで、今までにないようなセンサーを作れると思います。ぜひ2019年に発表したいと考えています。

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