液晶パネル大手、友達光電(AUO)は昨年第4四半期の営業損益がマイナス14億5,400万台湾元(約52億円)で、6年ぶり本業赤字に転落した。彭双浪(ポール・ポン)董事長は、6年続いた過去最長の好景気が終わり、今後は長い調整期が続くとの見方を示した。30日付工商時報などが報じた。

彭董事長は、昨年第4四半期はテレビ向けパネル価格が前年同期比20~30%下落し、利益を圧迫したと分析した。今後も中国で新工場稼働が続き、パネル需給不均衡は長引くと予測した。米中貿易戦争や新興国通貨下落など不確定要素が多く、厳しい経営環境が続く中、コスト改善など打撃の緩和しかできることはないと語った。

 AUOが29日発表した昨年第4四半期の連結売上高は770億9,300万元で、前期比4.9%減、前年同期比4.4%減だった。粗利益率は5.3%と、前期比5.4ポイント下落、前年同期比8.6ポイント下落した。純損益は2億8,100万元で、前期比93.5%減、前年同期比93.3%減ながら黒字だった。スロバキア工場の売却益11億元などを計上したためだ。大型パネル出荷枚数は2,845万枚で前期比4.5%減少、中小型パネルは3,215万枚で24.5%減少した。



 昨年通年の連結売上高は3,076億3,400万元で、前年比9.8%減少した。粗利益率は9.1%で、8.8ポイント下落した。純利益は101億6,100万元と68.6%減少したものの、6年連続の黒字だった。大型パネル出荷枚数は1億1,479万枚で2.7%増、中小型パネルは1億6,660万枚で1.3%減少した。

 今年第1四半期について彭董事長は、非需要期を利用して、工場の保守点検や新製品の試験生産を行うと語った。同社は、大型パネル出荷枚数は5~9%減少し、平均出荷単価は1~5%下落すると予測した。中小型パネル出荷枚数は20%減少するものの、平均出荷単価は上昇すると見込む。

 彭董事長は、今年のパネル価格動向は予測できないが、いずれは均衡点に向かい、深刻な赤字は長くは続かないと予測した。ただ、韓国メーカー(サムスンディスプレイを指す)が第8.5世代工場の液晶パネル生産能力を有機EL(OLED)パネルに切り替えても、世界の生産能力の1%相当にすぎないと語り、減産効果は薄いとの見方を示した。