
空気清浄機の「プラズマクラスター」をはじめ、シャープは多くの人になじみのある企業だ。ただ、現在、同社はホンハイの子会社である。社名は従来のままだが、同社の経営は従来の発想とは大きく異なる。シャープの経営陣には、ホンハイの創業者であり猛烈な経営手腕で知られる郭台銘(テリー・ゴウ)氏の薫陶を受けた人物が就任している。
ホンハイは中国政府が進めるIT先端技術振興策(中国製造2025)のなかで、競争力を高めようとしている。そのため、シャープの再建においてもホンハイはIoT(モノのインターネット化)関連の技術・テクノロジーを重点的に強化してきた。
その結果、シャープの業績と財務内容は急速に回復した。特に、中国での売り上げ増加は顕著だ。2009年度、売上高の15%が中国で獲得されていた。2017年度、中国での売上高の割合は41%にまで拡大している。これは、シャープが海外の要因(ホンハイによる経営改革と中国の需要)に支えられて業績を伸ばしてきたことにほかならない。他方、同期間の国内売上高比率は50%超から24%にまで落ち込んだ。
ホンハイにとって中国政府が進める「中国製造2025」は、テクノロジー企業としての経営体制を整備するチャンスだ。2025年に中国政府は半導体の自給率を70%まで高めたい。そのために、ホンハイがシャープのほかの国内事業の一部を中国に移管する可能性も否定はできない。
こうした展開を防ぐためには、わが国企業が能動的に新しい取り組みを進めて、環境の変化に適応していかなければならない。ホンハイは、受託製造業という最終需要の影響を受けやすい立場からの脱却を目指し、シャープを傘下に収めることでIT先端企業への成長を目指している。
郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 シャープを買おうとした男! [ 張殿文 ]
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