中国メディアの報道を基に19日付蘋果日報が報じたところによると、鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の富士康科技集団は、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)のスマートフォン新旗艦機種「P30」シリーズの一部の受託生産を受注したもようだ。第1四半期はファーウェイなどアンドロイドOS(基本ソフト)搭載スマホ大手からの新機種投入が相次ぎ、アップルのiPhone新機種の販売不振による受注の落ち込み緩和が期待される。

「P30」シリーズは、ファーウェイが2月末にスペインで開催されるモバイル製品の見本市「MWCバルセロナ(旧モバイル・ワールド・コングレス)」で発表すると伝えられる。富士康は昨年、ファーウェイのスマホ旗艦機種「Mate 20」シリーズの一部を受注したとされ、今後もミドル~ハイエンドでより多くの機種の受注が見込める。中国・広発証券の蒲得宇・海外電子産業首席アナリストは、ファーウェイからの受注は前年同期比3割増加するとの予測を示した。



 富士康は昨年第4四半期以降、iPhone XR(テン・アール)の生産を行っている鄭州工場(河南省)で、期間工5万人以上の大幅削減を迫られたものの、一転して大規模な募集を行う構えだ。鄭州市の募集センターによると、富士康は鄭州工場で5万人、深圳工場(広東省)で2万人以上の募集を行っている。

 中国メディアなどによると、アップルからの受注削減で、鄭州工場では20本用意したiPhone XRの生産ラインの稼働率が半分まで低下、1日当たり10万台まで生産が落ち込んでいる。

 iPhoneの昨年の中国販売台数は5,270万台と、前年比5%減少した。組み立ての7割以上を受注している富士康には大きな痛手で、アンドロイドスマホの受注によってiPhoneの落ち込みを緩和したいところだ。

 蒲アナリストは、昨年第4四半期以降のハイエンドスマホの在庫調整について、iPhone XRでは続いているものの、アンドロイドスマホでは一巡したと分析した。近日発表が見込まれる▽ファーウェイ「P30」シリーズ▽サムスン電子「S10」シリーズ▽北京小米科技(小米、シャオミ)「小米9」──など、アンドロイドスマホの新機種向け調達が始まり、サプライチェーンは活気づいていると指摘した。

 ただ、市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)によると、今年のスマホ世界生産台数は14億1,000万台と、前年比3.3%減少する見通しで、富士康にとって厳しい環境だ。米中貿易戦争による先行き不透明感、買い替え間隔の長期化、目新しい機能の減少からスマホ市場の低迷は続くとみており、市場環境の悪化が進んだ場合、5%以上の減少もあり得るとしている。