経営再建を目指す中小型液晶パネルメーカー、中華映管(CPT)は11日、従業員全体の55%に当たる2,500人を5月10日に解雇すると発表した。台湾パネル業界で過去最大の人員削減となる。経営悪化が明るみに出たことで顧客離れが起き、売上高が激減する中、大型リストラに取り組まざるを得なくなった。12日付経済日報などが報じた

解雇対象となるのは、桃園市の楊梅工場と龍潭工場の台湾籍の従業員で、台湾人従業員全体の約7割に当たる。同社の全従業員数は4,500人。既に桃園市政府労働局に大量解雇計画書を提出、18日に初回の労使協議を行う予定だ。

 業界関係者によると、解雇手当の支出額は10億~20億台湾元(約36億~72億円)に上る見通し。これに対し、同社の退職金用積立額は9億元にとどまる。財務体質の悪化した同社にとって大きな負担となりそうだ。



 同社は顧客離れで生産が大幅に減少している。2月は大型パネル出荷枚数が前月比98.9%減と1万枚に届かなかった他、中小型パネルは92万枚と67.1%減少した。1~2月連結売上高は2億7,700万元で、前年同期比94.2%減だった。

 観測によると、車載用や産業用パネルを生産する第4.5世代工場では手持ちの受注が5月中旬に底をつく見通しで、このタイミングで従業員解雇を行うもようだ。同社が裁判所と債権銀行団に提出した再建計画書には第4.5世代工場1基を売却することが記されており、今後は第6世代工場のみで生産する方向だ。

 証券会社は、車載用などに転用可能な第6世代工場で、ニッチ製品に注力すると予想した。ただ、老朽化した第4.5世代の設備売却は容易ではないとの指摘も出ている。

 中華映管は会社更生手続きの申し立てが桃園地方法院に棄却されたことを不服として抗告を行っている。

 ただ、債権銀行が11行に上るなど債権者が多いため、裁判所の事務処理に時間がかかっているもようだ。なお、債権者による債権行使の90日間差し止めを求めた緊急処分の申し立てからは既に1カ月が経過しており、引き続き同社再建の行方が注目される状況だ。