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シャープが超高精細映像「8K」を盛り上げようと躍起になっている。一昨年に世界に先駆けて8Kテレビを発売したが、高価で放送されるコンテンツが少ないことなどが響き、消費者向けの市場は低調。こうした中で注力するのが企業向けビジネス。昨年には8K映像の製作から伝送までを一括で請け負う事業を始め、専門の社内組織「8Kラボ」を立ち上げた。業務向けサービスの「BtoB」(ビー・トゥー・ビー)で堅実に8Kを浸透させる狙いだ。
 「映像を撮る、映す、伝送する、それをすべてワンストップで行うサービスをやりたい」  昨年12月26日、堺市のシャープ本社で開かれた報道陣との取材会の席で、8Kラボを主導するグローバルTVシステム事業本部の喜多村和洋・事業本部長はこう述べた。


 8Kラボは8Kテレビやカメラなどの機器を販売するだけではない。映像処理や伝送までを手がけ、8K映像の川上から川下まで幅広く網羅するビジネスを目指す。シャープは今年1月、米ラスベガスで開かれた家電・IT見本市「CES2019」で、世界初の一般のインターネット回線を使った8K映像伝送技術を紹介しているが、これもその一環だ。
 3月に発表した監視カメラも、その一例だ。8Kはフルハイビジョンの16倍の画素数があり、被写体の細かい文字や数字を確認できる。8K監視カメラを工場に導入すれば、不良品が出た場合、さかのぼってどこで作業ミスが発生したかを確認、検証できるという。8Kラボの技術では、これらの映像を工場から顧客の本社に伝送し、素早くモニタリング、検証しやすくするサービスも可能だ。