石川県内に生産・開発拠点を持つ有機ELパネル製造のJOLED(ジェイオーレッド、東京)は8日、総額255億円の第三者割当増資を実施したと発表した。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)、ソニー、NISSHA(京都市)の3社を引受先とする。調達資金の一部は千葉事業所(千葉県茂原市)の設備投資に充て、昨年の増資で整備を進める能美事業所(能美市)と合わせて量産体制を構築する。

 JOLEDは独自の「印刷方式」による有機ELパネルの量産を目指す。能美事業所で半製品を生産し、千葉事業所で完成品に仕上げる。両事業所とも2020年に稼働開始予定。千葉事業所の当初の生産能力は月22万台となる見通し。

 今回の増資に先立ち、JOLEDは昨年8月、デンソーや豊田通商など4社を引受先とする第三者割当増資で計470億円を調達。能美事業所の新棟建設や設備導入に充てている。



 能美事業所は、業績不振の中小型液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)の旧能美工場を活用し、平屋建ての新棟は2月に完成した。製造ラインの一部になるクリーンルームが整備され、延べ床面積は10万4千平方メートルとなった。フル稼働時は300人が働く見通しである。

 今回の増資の内訳は、INCJが200億円を出資。他の2社の金額は明らかにしていない。NISSHAは主要事業の一つであるタッチセンサーでの協業を検討している。

 JOLED株の保有割合(議決権ベース)はINCJが36・1%、JDIが27・2%、デンソーが18・3%となる。

 広報担当者は増資の主眼は千葉事業所への設備投資とした上で「使途が限定されている訳ではなく、特に必要があれば調達資金が能美に充てられる可能性はある」と話した。