img1_file5cff8788ae5a0ソニーは輝度を世界最高級の同社従来比6倍の1平方メートル当たり3000カンデラに高めた有機ELマイクロディスプレーを開発した。これまで主流だったデジタルカメラのファインダー用途に加え、第5世代通信(5G)のサービス開始を追い風に高輝度が必要な拡張現実(AR)グラス向けなどの新規需要を狙う。2019年内の量産出荷を目指す。

開発したのは画角が0・7型で、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)。マイクロレンズ配列などを工夫し、有機EL層から発する光を同社従来比で3倍効率よく取り出せるようにした。同層の発光効率も向上させた。



従来の0・7型品は業務用ビデオカメラの電子ビューファインダー(EVF)などに使われている。新規需要を狙うARグラスは、目の前の現実世界と仮想映像をメガネ上で重ねるため、仮想映像は現実の明るさに負けない高輝度が求められる。ARグラスのつる部分やレンズ上部に有機ELマイクロディスプレーを搭載し、光学技術を用いてレンズに投映する構造が一般的。同社は今後も一段の輝度向上を進める。

同社が11年に事業化した有機ELマイクロディスプレーは現在、画角や解像度、輝度などで仕様の異なる製品群を持つ。これまでは高級デジカメのEVFとしての採用が先行してきた。今後は5G時代を見据えてARグラスや仮想現実(VR)用ヘッドマウントディスプレー機器への搭載拡大を目指す。VRの没入感を向上させる大画面化も重要で製品の大型化にも取り組む。