発色の美しさで人気の有機EL(OLED)テレビについて、パネル寿命が短いことなどの欠点から、早ければ5年後にも大型テレビ市場から淘汰されるとの予測が液晶パネル大手の群創光電(イノラックス)から示された。同社が注力するデュアルセル(Dual Cell)やミニLEDなど、次世代液晶ディスプレイ(LCD)関連技術が有機ELに取って代わるとみている。25日付自由時報が報じた。

有機ELテレビは、韓国のLGエレクトロニクスが2013年に55インチテレビを発売以降、ハイエンド製品の代名詞となっている。ただ、丁景隆・イノラックス技術副総経理は、有機ELパネルは▽寿命が短い▽画面の焼き付きが起きる▽65インチ以上の超大型サイズでは輝度不足が目立つ──などの欠点があるため、新技術によって淘汰されると予測した。



 有機ELテレビの行方については、過去のプラズマテレビの市場撤退と重なるとみている。プラズマテレビは00年代前半、次世代テレビの主流の座を液晶テレビと争った。液晶テレビは初期段階で40インチ以上の大型化にボトルネックがあったため、プラズマテレビは大型サイズ市場を独占していた。

 しかし、LCDはその後の技術革新で大型化が進んでプラズマディスプレイとの差がなくなった上、消費電力の低さで勝った。プラズマテレビは結局、パナソニックが14年に生産を停止したのを最後に市場から姿を消した。

 イノラックスはポスト有機ELの次世代技術として、デュアルセルLCD、アクティブマトリックス方式ミニLEDに注力している。

 デュアルセルLCDは液晶パネルを二重にしてコントラストを向上させる技術で、イノラックスの「メガゾーン」パネルは、有機ELに近いコントラストを実現した。明るさではバックライト効果を生かして有機ELの2倍を誇る。パネル寿命は有機ELを上回り、焼き付き問題はなく、コスト面でもより競争力がある。メガゾーンを採用した65インチ以上の大型テレビは、下半期以降に市場に投入される予定だ。

 また、ミニLEDについて丁技術副総経理は、台湾にはLEDチップやドライバIC、組み立てといったLCDサプライチェーンが整っており、今後の発展に有利と強調した。