ソニーの業績が絶好調だ。2019年4~6月期の営業利益は過去最高を更新し、着実に利益体質にシフトしている。同社は大規模な赤字を垂れ流すなど経営危機が囁かれた時期もあったが見事に復活を遂げた。同じく倒産寸前まで追い込まれたシャープも、今はほぼ完全復活を果たした状況にある。
両社に共通しているのは、「何の変哲もないフツーの会社になる」勇気を持ったことである。企業は過度に理想を追い求めるべきではなく、商売の基本に徹するのが原則だ。
平井氏は、管理部門出身で、当時はソニーコミュニケーションネットワーク(現・ソニーネットワークコミュニケーションズ)の社長を務めていた吉田憲一郎氏(現ソニーCEO)に白羽の矢を立て、2013年に執行役に、2015年には副社長に抜擢した。主要ラインからは外れていたと思われていた吉田氏を引き上げた理由は、吉田氏が数字の鬼だったからである。


戴氏は利益相反を防ぐため、鴻海の取締役を辞任し、排水の陣でシャープの経営に取り組む姿勢を見せた。同氏の仕事ぶりは迅速そのもので、8月のお盆前休み前に社長に就任するも、休み明けには経営基本方針が発表されるという手際の良さだった。
シャープの業績はみるみる回復し、戴氏の社長就任から半年後の2017年3月期には早くも経常黒字を実現し、1年が経過した2017年4~6月期には最終黒字を達成、わずか1年4カ月で東証1部への復帰に成功した。しかも、この間に社員の給与(ボーナス含む)を17%も増やしている。
戴氏が行った施策は、経営者としてはごく初歩的なものばかりであり、高学歴者も多かったシャープ経営陣が状況を理解できないはずはなかったが、現実にはメチャクチャな経営が行われていた(これは東芝にも通じる話といってよいだろう)。
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