新型のマスターモニターHX310とは、一体どのような製品なのか? なぜ有機ELではなく液晶なのか? 液晶で100万:1のコントラストはどのように実現しているのか、その映像は? などの疑問を尋ねるべく、業務用機器の開発拠点を置くソニー厚木テクノロジーセンターを訪ねた。
マスターモニターとは、映像や信号の品質確認・評価を目視で行なうために使われる専用の映像装置だ。
色域や色温度、輝度やガンマなど、各種パラメータを正確に表示でき、映像が規格に収まっているか、クリエイターの映像演出やその効果が意図通りであるかが一目で確認できる。また長期にわたって性能と精度を維持し、なおかつ同型のモニターを2台、3台組み合わせた場合でも、それら全てで同じ画が出せるよう設計されている。


X300を使う現場からは“HDR素材の高輝度信号も再現できるようにしてほしい”、“ピーク輝度のエリア制限を無くして欲しい”といった輝度に関わる要望が挙がっていました。X300ではピーク輝度が一定の面積を超えた場合、パネルの保護機能が働き光量を強制的に下げていたからです。そこで我々はクリエイターらの要望に応えるべく、“新型液晶パネル”を用いて、HDR制作により適した新しいマスターモニターを企画しました」。
新型液晶パネルとは何物か。
同社はこのパネルに関する情報を公開していないが、使われているのは'16年11月にパナソニック液晶ディスプレイが開発・発表した「新型IPS液晶パネル」といわれている。 この液晶パネルの最大の特長は、バックライトと表示セルの間に、もう1枚のセルを挟み込んだ“2枚構造”になっていることだ。 通常の液晶パネルは、1枚の表示セルにカラーフィルターを組み合わせ、画素ごとに光の強さと色を制御することで画を作る。液晶はいわば“シャッター”の役割で、電圧によって液晶分子が動く(配向する)ことで透過する光の強度をコントロールする。
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