一度は経営破綻寸前まで追い込まれながらも、台湾の電子機器製造会社、鴻海グループの出資を受け、再建を果たしたかに見えたシャープに再び暗雲が漂っている。
シャープの前期(2019年3月期)決算は、売上高は前年比1・1%減の2兆4000億円、営業利益は同6・6%減の841億円だった。期初には売上高2兆8900億円、営業利益1100億円を見込んでいたが、2度にわたり下方修正を行い、期初予想より大きく落ち込んだ。


中国でテレビ販売が低迷、業績の足を大きく引っ張った。  鴻海は台湾企業だが、中国国内に多くの工場を持ち、強固なネットワークを築いている。鴻海の戦略では、このネットワークを通じてシャープ製品を中国で拡販し、業績を伸ばすはずだった。その目算は大きく狂った。
シャープが鴻海傘下に入ったのは16年のこと。それまで5年間で4度の赤字に陥っていたが、鴻海グループ入り初年度の17年3月期には黒字(経常利益)を回復、以降、順調に業績を伸ばしてきた。しかし、ここにきて中国に頼ってきた経営リスクが顕在化。果たして舵を切り替えることはできるのか。

シャープ再建   鴻海流スピード経営と 日本型リーダーシップ [ 中田行彦 ]
シャープ再建   鴻海流スピード経営と 日本型リーダーシップ [ 中田行彦 ]