スマートフォン中国最大手のファーウェイが先月発表したフラッグシップ機「Mate 30」シリーズの海外での売れ行きが思わしくない。米国による事実上の禁輸措置により、同機種はGoogle系のアプリやサービスを使用できないからだ。ファーウェイ製品専門メディア「Huawei Central」の報道によると、ファーウェイはMate 30不振の穴埋めとして、先月発売したばかりのハイスペックスマホ「nova 5T」をドイツなどの欧州市場でも発売するという。発売日は未定だが、近日中とみられる。

先月28日、マレーシアを皮切りに販売を開始したnova 5T。4800万画素のメインカメラを筆頭としたクアッドカメラを搭載し、ノッチレスのパンチホールディスプレイを採用、SoCは「Kirin980」を実装するほか、OSはAndroid 9をベースとした「EMUI 9」を搭載し、Googleアプリもプリインストールしている。



過去数年にわたって海外市場の開拓を続けてきたファーウェイは、ことのほか欧州市場に注力しており、同社にとっては第2の市場となっている。IT関連専門の市場調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、欧州市場における2019年第1四半期のファーウェイ製携帯電話の販売台数は前年同期比70%増で、市場シェアは同15%から26%へと伸び、アップルを抜いて2位につけていた。しかし米国による禁輸措置後、情況は一変した。第2四半期の欧州市場での販売台数は850万台にとどまり、出荷台数は前年同期比16%減、市場シェアは18.8%にまで落ち込んだ。

Mate 30は中国国内では好調だ。販売開始わずか3時間で100万台が売れたという。しかし、GMS(Googleモバイルサービス)のライセンスを失った製品は、GmailやGoogleマップ、Google検索といった基本機能が使用できないことを意味する。無論、Androidの更新もままならない。海外ユーザーが「ファーウェイ製スマホ」か「Googleアプリ」の二択を迫られるなら、後者を選ぶのは当然だろう。

ファーウェイの窮地を素早く嗅ぎつけたのはライバルのシャオミ(小米科技)だ。ある調査によると、今年6月の欧州市場における携帯電話のオンライン販売台数は、首位がサムスン、2位がシャオミだったという。また、携帯電話業界の研究機関・第一手機界研究院(MNRI)のデータでは、同年8月のドイツでのオンライン販売台数は、シャオミがファーウェイを逆転して3位に浮上したという。シャオミは今年第2四半期、欧州市場で48%の急成長を遂げている。