量子ドット材料(Quantum Dot=QD)の需要拡大が見込まれている。韓国のサムスンディスプレー(SDC)が忠清南道牙山キャンパスに2025年までに総額13.1兆ウォンを投資する計画を発表し、8.5世代(2200×2500mm)マザーガラスで当初月産3万枚の生産体制を整備して、次世代テレビ用パネル「QD-OLED」の量産を21年から開始するためだ。これに伴い、QDメーカーの動きも活発化しており、20年には応用範囲の拡大がさらに進みそうだ。
 現在、QDメーカーとして最も大きな供給能力を持つと目されるのが米ナノシスだ。同社は19年7月、カリフォルニア州ミルピタスの本社工場で数百万ドルの投資を完了し、QDの年産能力を50t以上に倍増したと発表した。15年に年産能力を25tに拡大すると発表し、18年にこれを実現したが、テレビやモニター、タブレット向けなどに拡大する需要に対応するため新たな増産投資を進め、1300L以上の容量を持つ2階建ての反応炉を整備した。






シンガポールに本社を置く先端材料ベンチャーのナノルミは19年11月、ディスプレー用にCdフリーのペロブスカイトQD(PeQD)を用いた色域向上フィルム「カメレオンGフィルム」を業界で初めて開発したと発表した。すでにディスプレーメーカーが評価を進めており、これを搭載した民生品が20年後半に発売される予定だという。
 こうした需要拡大に対応した動きの一方で、再編を検討している企業もある。CdフリーQDメーカーの英Nanocoテクノロジーは19年11月、会社の売却も視野に入れた検討を進めていることを明らかにした。独立した財務顧問にエバーコア社を指定し、ここを通じて12月中旬に提案があることを期待している。
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