三菱電機は、屋内用発光ダイオード(LED)表示装置の低消費電力化を進めている。常時稼働する官公庁の交通管制センターといった監視システム向けなどで、既存の表示装置からの置き換え需要を狙う。画面の高精細化という技術開発だけにこだわらず、使い勝手を重視した機能で他社と差別化を図る。

LED表示装置は通常、暗い画面から明るい画面に切り替わる際、一時的に電力消費量が上がってしまう。そこで三菱電機は独自の電力制御機能を追加。次に表示する映像を検知して明るさを自動で抑制し、事前に設定した電力値を超えないように制御している。





同社は監視システム向けにDLP方式プロジェクターを長く納入してきた。だが近年はLED表示装置の高精細化が進み、同用途でも置き換え需要が高まっている。ただLED表示装置は、DLP方式プロジェクターに比べ消費電力が格段に高い。そこで今回、電力制御機能を追加。「顧客の電源設備を改造せず、LED表示装置に置き換えられる」(映像情報システム統轄部の大岡孝博副統轄部長)ようになった。

LED表示装置は、液晶ディスプレーにあるような外枠が不要。そのため複数の画面ユニットを組み合わせ大画面として構成した場合でも、目地のない映像表現を実現できる。加えて同社は、焼き付きと呼ばれる残像発生を低減する機能も搭載。長時間使用に適した性能で、液晶ディスプレーなどと用途をすみ分けている。同社はLED表示装置を屋外用としては1990年代半ばから展開している。ただ屋内用の製品化はここ数年のこと。屋内用だと高精細な画面が要求されるので、画素ピッチを狭くする技術開発が不可欠だったためだ。

今後も狭ピッチ化の技術開発の競争は、さらに進むとみられる。ただし、そこにこだわり過ぎると製品の差別化は難しくなる。それだけに、消費電力化や焼き付け低減といった要素でいかに訴求できるかが重要になりそうだ。

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