液晶パネル大手の友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)は米国時間7日、生産ラインがフル稼働状態で、一部製品では供給が不足し始めていると説明した。川下メーカーからの調達が旺盛で、在庫水準は予測を下回っている。両社は昨年、パネル価格下落を受け業績が低迷したが、今年は回復が見込めそうだ。9日付経済日報などが報じた。

 AUOの彭双浪(ポール・ポン)董事長は、値下がりが激しかったサイズの供給不足が特に深刻化している他、大部分の生産ラインはフル稼働状態に近いと説明した。昨年は中国の独身の日(光棍節、11月11日)セールでのテレビ販売台数が20%以上増加し、米国の感謝祭セールも予測を上回る好調ぶりだったが、川下メーカーは米中貿易戦争への対応で事前に在庫水準を引き上げていたこともあり、セール向け調達に慎重だったため、在庫水準の低下を招いたと分析した。昨年末の米中貿易交渉の進展で、一部製品の制裁関税課徴が先送りになったことや、製品販売価格が予測ほどは高くならなかったことも、年末商戦での販売を押し上げたようだ。





 彭董事長は今年について、昨年下半期の段階では悲観していたものの、米中貿易戦争が緩和に向かうことなどから景気を楽観視しており、市場は安定化するとの見通しを示した。  イノラックスの楊柱祥総経理は、近ごろは顧客の調達が旺盛で、各生産ラインはフル稼働状態となっており、少なくとも第2四半期半ばまで継続するとの見通しを示した。テレビ販売好調などを受けた価格安定、中央演算処理装置(CPU)の供給逼迫(ひっぱく)改善により、今年のパネル景気は安定し、例年通り第4四半期に向けて需要が増加するとみている。

 イノラックスの洪進揚董事長は、今年は東京五輪、第5世代移動通信(5G)などで製品買い替え需要が喚起される他、各生産ラインではハイエンド製品の成長が著しく、仮に生産量が増えなくても収益構造強化につながると指摘した。

 証券会社は、パネル価格は上昇段階に入り、テレビ用中小型パネル価格の値上がりが先行していると指摘した。テレビ用大型パネル価格は新世代工場の稼働の影響を受けるが、韓国メーカーの液晶ディスプレイ(LCD)パネル工場の稼働終了で供給量が前年に比べ縮小するため、需給が安定し、価格上昇も期待できると指摘した。LGディスプレイ(LGD)とサムスンディスプレイ(SDC)が昨年と今年に稼働終了する生産能力は、世界全体の約5.5%を占める見通しだ。

 LCDパネル世界2位のLGDは米国時間6日、有機EL(OLED)パネルへの注力のため、2020年内に韓国でのテレビ用LCDパネルの生産を終了すると表明した。台湾大手2社に有利に働くとみられる。

 LGDとSDCに加え、中国の▽京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)▽TCL華星光電技術(CSOT)▽恵科(HKC)──、日本のパナソニックなどが減産の動きを強めており、今年はパネル需給の健全化が期待できそうだ。