東洋紡は、2019年に帝人から買収した子会社、東洋紡フイルムソリューション(TFS、東京都中央区)とのシナジーを最大化し、フィルム事業のさらなる深化を図る。東洋紡の強みであるハイエンド向け製品に、帝人が得意としているミドルゾーンを低コストで製造する技術を融合することによるコスト削減や新製品の開発など推し進める。21年度をめどにTFSの売上高を買収以前比約15%増の300億円に引き上げる。

TFSが強みとするポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムに、東洋紡の色むらを抑えることができる液晶ディスプレー向け超複屈折フィルム「コスモシャインSRF」の技術を応用した新製品を開発する方針。





東洋紡の楢原誠慈社長は「PENはコスモシャインSRFの製造技術と相性が良い。PENでもSRFと同等に近い効果が出ると期待している」とし、実現すれば低コストでハイエンド品の製造が可能になる。

液晶テレビの大型化や外枠がほとんどないベゼルレス化に加え、自動車の電動化や第5世代通信(5G)対応などを背景に、SRFやセラミックコンデンサー向け離型フィルムの需要は拡大する見込み。

東洋紡はTFSをグループに加えたことで、ポリエステルフィルムの生産能力が国内外合わせて4割以上高まった。19年度の設備投資で約300億円を見込むうち半分強の約155億円を、犬山工場(愛知県犬山市)などの設備増強としてフィルム事業に投じる方針。