中国のファーウェイは昨年末、米国による禁輸措置が業績に悪影響を及ぼすと予想したが、ここに来て、同社が置かれた状況はさらに厳しさを増している。新型コロナウイルスの感染拡大は海外での売上を大きく下落させ、国内ではシャオミなどの競合に追い上げられている。

市場調査会社Strategy Analyticsの3月20日のレポートによると、2020年2月の世界スマートフォン出荷台数は前年同期の9900万台から38%減の6180万台となり、過去最大の下げ幅を記録した。背景には感染拡大による打撃が、製造と消費の双方に及んだことがあげられる。

しかし、メーカー別の出荷台数を見ると、ファーウェイが特に深刻な打撃を受けたことが分かる。ファーウェイの出荷台数は1月から2月にかけて、1220万台から550万台に急落した。競合メーカーも台数を減らしているが、同期間のアップル(1600万台から1020万台)やサムスン(2010万台から1820万台)に比較すると、ファーウェイの落ち込み方は他社を大きく上回る。





昨年10月に2220万台だったファーウェイの月間出荷台数は、数カ月で550万台まで落ち込んだのだ。つい数カ月前に、ファーウェイはサムスンから世界トップの座を奪うことを視野に入れていた。しかし、2月のファーウェイの出荷台数はサムスンの30%程度のボリュームにまで低下しているのが現実だ。

Strategy Analyticsの直近のレポートで、2020年2月の世界のスマホメーカーの出荷台数ランキングは次のようになっている(カッコ内は月間の出荷台数)。

1位:サムスン(1820万台)
2位:アップル(1020万台)
3位:シャオミ(600万台)
4位:ファーウェイ(550万台)
5位:OPPO(400万台)
6位:VIVO(360万台)


ファーウェイをここまで追い込んだのは、ドナルド・トランプではなく、アップルやサムスンでもない。シャオミやOPPOなどの国内メーカーの猛追だ。Strategy Analyticsの集計によると、シャオミの2月の出荷台数は600万台を記録し、初めて世界3位に浮上し、ファーウェイを4位に押しやった。

ファーウェイの出荷台数は昨年2月からの1年間で約70%減少したが、シャオミは30%の減少で持ちこたえている。ファーウェイ社内からのリーク情報で、同社は今年20%の売上減を見込んでいるという。しかし、感染拡大の動向次第で売上はさらに落ち込む可能性がある。

そこに追い打ちをかけるのが、国内からの追い上げだ。シャオミCEOのレイ・ジュンは先日、「当社は今後、ハイエンド市場への進撃を開始する」と宣言し、最新の5G対応のフラッグシップモデルXiaomi Mi 10をアピールした。

ファーウェイにとっての1つの希望は、中国市場が正常に戻り、同社が強みを持つリアル店舗の販売網が力を取り戻すことだ。しかし、市場が長期的な影響を受け、その間に環境が激変してしまうこともあり得る。中国メディアは、市場が回復に向かうなかで、新たな5G端末のトレンドが押し寄せていると述べている。

一方、海外市場では今後も新型コロナウイルスの影響が売上に打撃を与えるだろう。そして、ファーウェイをさらに困難な立場に追い込むのがグーグルとの関係だ。同社は昨年、フラッグシップ端末のMate 30を、グーグルのサービスを搭載せずに発売したが、3月末に発表されるP40も、グーグルのアプリを搭載していない。

今年の初めにファーウェイは、従業員らに「生き残ることが最優先だ」と警告した。当時、問題になっていたのは純粋に、米国による禁輸措置から生じる端末の制限と、5Gの通信機器の問題だった。しかし、コロナウイルスの国際的な感染拡大と、国内の競合からの追い上げという複数の新たな課題が今、ファーウェイをさらに厳しい状況に追い込んでいる。

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