韓国LG化学は10日、液晶パネル向けの偏光板事業を中国企業に売却すると発表した。売却額は11億ドル(約1200億円)。韓国ではLGディスプレーやサムスン電子が液晶事業を縮小しており先細りを見越して売却を決めた。液晶パネルは巨額投資を進める中国勢がシェアを拡大しており、関連部材の分野でも中国の存在感が高まりそうだ。

中国の電池部材メーカー「杉杉(シャンシャン)グループ」にテレビやスマートフォン向け液晶パネルの偏光板事業を売却する。杉杉の株主総会での承認を得て、まず杉杉が70%、LG化学が30%出資する合弁会社を設立し、3年後をメドに残りの持ち分も杉杉側に売却する計画だ。

LG化学の偏光板生産拠点は韓国に1工場、中国に2工場ある。中国・南京と広州にある偏光板工場は売却し、韓国・梧倉(オチャン)工場は有機ELパネルの偏光板や自動車向け液晶パネルの偏光板の生産拠点として継続運営する。





同社の偏光板事業の売上高は1兆6000億ウォン(約1450億円)規模。調査会社テクノ・システム・リサーチによると2018年の世界シェアは23%で住友化学グループ(24%)に次ぐ2位につける。3位は日東電工で日韓企業でシェア8割超を占めている。

液晶パネル産業では15年ごろから京東方科技集団(BOE)ら中国のパネルメーカーが政府資金を背景に巨額投資を続けており、日本と韓国、台湾勢がシェアを奪われる構図が続く。LG化学の偏光板事業の中国企業への売却は、中国勢がパネルだけでなく上流産業の取得に動き出した転換点ともいえる。パネル産業に限らず半導体産業でも装置や材料で稼ぐ日本企業の将来戦略にも影響を与える可能性がある。

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