9月15日、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する半導体の出荷停止がついに始まった。そんななか、複数の半導体メーカーが自社製品のファーウェイ向け出荷許可をアメリカ商務省に申請していることがわかった。ただし現時点では、申請に対する同省の判断は明らかになっていない。

 今回の出荷停止は、商務省が今年5月と8月に打ち出した対ファーウェイ制裁の強化に伴うものだ。同省は5月15日、半導体メーカーがファーウェイや子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計したチップの製造を請け負う場合、その過程でアメリカ由来の技術を含む装置やソフトウェアを使う際には、アメリカ国外での生産を含めて許可の取得を義務づけた。

 これにより、半導体の受託製造(ファウンドリ)で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)や、中国のファウンドリ最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は、ファーウェイからの新規受注を停止せざるをえなくなった。既存の受注に基づく出荷には120日の猶予期間が与えられたが、その期限も9月14日で切れたのである。





 さらに商務省は8月17日、規制対象をアメリカ由来の技術が使われたすべての半導体チップに広げた。その結果、スマートフォン向けSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹部品を1つの基板にまとめたもの)を手がける台湾の聯発科技(メディアテック)や半導体メモリー大手の韓国のサムスン電子なども、ファーウェイとの取引継続には商務省の許可が必要になった。

 ファーウェイは2019年の移動通信基地局の市場シェアが世界首位、スマートフォンが世界2位であり、ほかにもサーバー、ノートパソコン、スマートテレビなどさまざまな製品を手がけている。半導体の世界有数の大口ユーザーだけに、半導体メーカーにとって出荷停止の痛手は大きい。

 財新記者の取材に対し、SMICは「ファーウェイ向けの供給を続けるための申請を規定にのっとってアメリカ当局に行った」と明らかにし、併せて「わが社は法令を厳格に遵守する」と強調した。メディアテックは、同じく規定にのっとってアメリカ当局に出荷許可を申請し、「審査結果を待っている」と回答した。

韓国メディアの報道によれば、サムスン電子とSKハイニックスがファーウェイへの半導体メモリーの販売を続けるため、やはりアメリカ当局に出荷許可を申請したという。財新記者は韓国の2社に確認を試みたが、コメントは得られなかった。そのほか、スマートフォン向けSoC世界最大手のアメリカのクアルコムや、半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーも出荷許可を申請したとみられている。

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