現在のCESにおいて、ディスプレイ技術はメインストリームではありません。CESの中心トピックは5G通信やロボティクス、あるいはヘルステックや自動運転をはじめとするMaaS(Mobility as a Service)など。ですが、私がそんなメインストリームを追いかけても仕方がないので、そちらはそれぞれの専門家の方にお任せしましょう。私はあくまでディスプレイを追いかけてビジュアル技術の差分を見てゆきますが、その点から言うと今回も結構面白かったです。
まずディスプレイの大きなポイントはミニLEDです、端的に言うと数千個、数万個単位のLEDをバックライトに使った液晶テレビですね。この分野は液晶が復権する大きなパワーとしてTCLが火を付け、中国メーカー各社が追随。今年になってLGが採用しましたが、日本メーカーはまだの様子です。液晶がプラズマに代わって衰退し、OLEDが新しい自発光デバイスとして挑んできたというのがここ十数年ほどの業界でしょう。そんな意味で、日本はOLED志向が非常に強く「これからの時代はOLEDかな」という雰囲気があります。
対して液晶はコストが安く、大画面化しやすいというメリットがあります。世界的に見てもトレンドは2分化されていて、日本とヨーロッパはOLED、中国とアメリカは液晶が好まれる傾向にあります。住環境の違いが如実に出ている、とも言えるでしょう。箱庭的な比較的狭いスペースで緻密さを追求するのが日本とヨーロッパのOLED志向、広々とした明るいリビングで手軽に大画面を愉しむのが中国とアメリカの液晶志向です。そういった中で近々のトレンドは液晶の復活です。これはストリーミングの隆盛を中心とするステイホーム需要と深い関わりがあります。
長時間自宅に居ないといけない時に、従来の多チャンネルケーブルテレビサービスではどうしてもプログラムに限りがありました。そこへ昨今のステイホーム需要が急増し、時間や内容に制約が無い、お金をかけて作ったストリーミングを多くの人が観るようになりました。その時に自宅のディスプレイ環境というのはやはり重要になる訳です「どうせ観るなら大画面」とね。Read full article
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