米国テキサス州にある韓国サムスン電子の半導体工場が停止した影響で、4~6月期の世界のスマートフォン生産は5%減るとの分析を、台湾の調査会社トレンドフォースが発表した。同工場が停電で止まってから16日で1カ月。米クアルコムがサムスンに生産を委託するスマホ用の半導体も供給が滞っている。

トレンドフォースが別途まとめた予測値と組み合わせると、単純計算で1700万台の生産に影響が及ぶことになる。

テキサス州にあるオースティン工場は半導体受託生産の拠点で、クアルコムの通信用半導体のほか、自社の有機ELパネルやイメージセンサーの駆動用半導体などを手掛ける。クアルコムはスマホの通信機能を担う半導体で高いシェアを持つため、スマホ産業に与える影響は大きい。有機ELパネルをサムスンから調達する米アップルのスマホ生産にも支障が出る可能性がある。





トレンドフォースは「オースティン工場の3月中の正常化は難しい」と分析。高速通信規格「5G」対応スマホに限れば、4~6月の世界のスマホ生産落ち込みは30%に達すると推計した。サムスンは「施設点検と補修など準備を進めているが、正常稼働にはまだ時間がかかる。安全を最優先に早期正常化に努力する」としている。

サムスンは半導体受託生産の分野で台湾積体電路製造(TSMC)に次ぐ2位。自動車産業が半導体不足によって減産を迫られるなど、半導体供給の逼迫は幅広い産業に影響を及ぼしている。TSMCやサムスンも余剰設備がなく、代替生産が難しいことからオースティン工場の稼働停止がスマホ産業の減産に直結することになった。

米国では2月、記録的な寒波の影響で南部のテキサス州でも電力不足となり、計画停電に伴ってサムスンの工場も操業停止に追い込まれた。半導体の仕掛かり品、ウエハーの損傷は免れたものの、稼働停止が長期化し供給問題が浮上した。

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