1990年代初頭、液晶ディスプレイ(LCD)技術がノートPCに採用されたことが、今のディスプレイ業界出現の契機となりました。LCDは、それまでのCRT(陰極線管)ディスプレイとは比較にならないほど薄く、携帯性に優れていたからです。
その後20年間に、LCDはノートPCやニッチ市場向けデバイスを超えて普及して、テレビやモニタではCRTを置き換えたほか、スマートフォンなど新しいデバイスも登場させるなど、ディスプレイ業界を席巻しました。そして今、次の技術交代の波が始まりつつあります。有機発光ダイオード=有機EL(OLED)ディスプレイがコンシューマ機器分野でLCDに取って代わろうとしているためです。そのほかにもミニLED、マイクロLED、マイクロOLEDといった興味深いテクノロジーの登場も近づいてきています。
この「OLEDの波」を受けて、ディスプレイ業界は変貌しつつあります。新設されたスマートフォン工場ではすべてのラインがOLED向けとなっており、近い将来には大画面ファブへの投資もOLED向けとなるでしょう。これはApplied Materials(AMAT)のような製造装置を扱う企業にとっては朗報です。OLEDはLCDに比べて工場の設備投資額がはるかに大きいためです。
ミニLEDバックライトは、従来のLCDよりも明暗のコントラストがはっきりしています。これは複数のゾーンで輝度をローカルで調整できることに起因するもので、OLEDと比べてコントラスト性能のギャップをある程度狭めることができます。問題は、費用対効果のトレードオフです。
ミニLEDが単にLCDのバックライトを機能強化しただけであるのに対し、マイクロLEDは(OLEDと同じく)自発光型のディスプレイ技術となります。使用するLEDのサイズは50-100μm以下で、それぞれが赤、緑、青のサブピクセルとして機能します。Read full article
Comment
コメントする