アップルの各種新製品が発表になった。AV的に見ればやはり、新しいApple TV 4KとミニLED搭載でディスプレイを一新したiPad Pro(12.9インチモデル)が気になるところだろう。ここでは後者について、その後に得られた情報を含めて考察してみたい。高コントラストなタブレットは、AVファンにとっても気になる存在だが、色々と考えてみると、今回の選択は「アップルのディスプレイ戦略」の一端の表れなのかもしれない。
ポイントはやはり、12.9インチモデルにおいて、バックライトに「ミニLED」を採用した、ということだろう。アップルはミニLEDを使ったディスプレイを「Liquid Retina XDRディスプレイ」と呼んでいる。採用しているのは12.9インチのみで、11インチには未採用だ。これは、価格や重量などでの棲み分けを考えたものだ。






新iPad Proの場合、全体に1万個以上の青色LEDを配置し、さらにそれをいくつかセットにしてエリアを構築、画面全体をエリア分割して光をコントロールする。発表内容によれば、エリア分割数は2,596となっている。従来、サイドライトで使っていたLEDは「72個」だというから、大変な差である。
エリア分割駆動させれば当然、映像の明るい部分と暗い部分を分けて光らせることができる。だから結果として、ディスプレイ全体で輝度をコントロールしている一般的なサイドライト型に比べれば、明るい部分と暗い部分のコントラストは強くなる。アップルによれば、カタログスペックとしてのコントラストは「100万対1」、ピーク輝度は1,600nits、画面全体での輝度は1,000nitsになるとしている。
単にコントラストを上げるのであれば有機ELを使ってもいいはずだ。市場には有機ELを使ったPCやタブレットも増えており、それらは高いコントラストを実現している。 なぜアップルはミニLEDを採用し、有機ELを使わなかったのか? ここからはある程度予測が入るが、そんなに外れてはいないだろう、と思っている。 最大の課題は「量産」だ。
Read full article