“新型コロナ防疫”に善戦したという評価を受けてきた東南アジアでは、変異ウイルスの拡散によって新型コロナの感染者が急増し、現地に進出した韓国企業の足元にも火がついた。
東南アジア各国政府は防疫のために工場稼動を中止させたほか、職員らに接種するワクチンを企業が直接購入するよう要求している。日本企業も状況は似ている。トヨタ自動車やホンダなどはマレーシアやタイでの工場稼動を中止した。

 サムスン電子のスマートフォン主力工場が位置するベトナムのバクニン省は、今月2日から地域内労働者の出勤を中断する措置を取ることにした。北部工業地帯でインドと英国の変異ウイルスの特性が混ざった新しい変異ウイルスが発見されたためだ。





 ベトナムは昨年まで新型コロナ防疫に善戦したという評価を受けていたが、今年4月末から感染者が急増した。国際統計サイトの「Worldometer」によると、今月1日基準のベトナムにおける新型コロナの累積感染者は7321人、死亡者は47人と集計された。感染者のうちの半分以上はこの1か月間で新たに感染した。

 職員の出勤までストップしている状況で、ベトナム防疫当局は現地に進出した韓国企業に職員用ワクチンを直接購入するよう要求している。ベトナム北部バクニン省の産業団地管理委員長は「政府は企業が労働者のためのワクチンを求めるよう督励している」と述べたが、本音は従業員のためのワクチンを企業が代わりに求めるということだ。

 これは、ベトナム政府が十分なワクチンを確保できていないためと分析される。ベトナム保健省によると、ベトナムでワクチンの接種を1回以上受けた人は全人口の1%である100万人余りに過ぎない。また、2回目の接種まで終えた人は約2万8500人に過ぎない。

 東南アジアに進出した日本企業も状況は同じだ。日経によると、マレーシアに進出して年間5万台の自動車を生産するトヨタ自動車は今月1日から現地生産や販売を全て中止することを決めた。この2週間で新規感染者数が2倍近く増えたことで、マレーシア政府が今月14日まで全国封鎖令の発令に踏み切ったためだ。マレーシアでは最近、新型コロナウイルスが急速に広がっている。先月29日には9020人の新規感染者が発生し、史上最多数を記録するなど、スピードだけを見ればインドを上回っているという評価だ。