ミニLEDはディスプレイのコントラストを上げる技術の一つだ。iPad ProやPCなどにおいては、クリエイター向けとしても映像視聴向けとしても価値が高い。一方、映像視聴向けの本筋である「テレビ」では、ミニLEDはどう捉えられているのだろうか?
日本でメジャーなメーカーでの採用例は少ないが、テレビでもミニLEDはホットな領域と考えられている。この分野で特に熱心なのは中国メーカーだ。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
日本でメジャーなメーカーでの採用例は少ないが、テレビでもミニLEDはホットな領域と考えられている。この分野で特に熱心なのは中国メーカーだ。
もちろん、これにはちゃんと理由がある。ミニLEDを用いるのは液晶ディスプレイだ。液晶は有機ELに比べ、大きなサイズが作りやすい。中国メーカーは中国とアメリカで強く、これらの市場は特に大画面が好まれる。日本だと75インチを超える製品を買う世帯は少ないが、中国・アメリカ市場ならそうでもない。となると、サイズとコストのバランスを考えれば、液晶を使った製品が必要になる。そこで、新しいキーワードである「ミニLED」が大きな価値を持つ。薄型化にも有効とあってはなおさらだ。
日本でもLGエレクトロニクスが2021年の液晶最上位モデル「QNED99/90」でミニLEDを採用した。このモデルは65型からの大画面テレビであり、ミニLED+大型液晶という図式に当てはまる。
一方で、日本メーカーはミニLEDにあまり積極的ではない。理由は2つある。
一つ目は、中国やアメリカほど大画面モデルに人気がなく、ハイエンド製品は有機ELが中心になっていること。コントラスト向上なら有機ELの方が有利であり、その意味でもミニLEDの魅力は落ちる。
二つ目は、輝度を稼ぐには既存のLEDの方が有利であること。ミニLEDはLEDが「小さい」ので、どうしても1つあたりの輝度では劣る。だから数でカバーするのだが、輝度をコントロールする単位である「エリア分割数」は、LEDの数ほど多くなく、既存のLEDを使ったものと大差ない。だとすると、輝度やコストのバランスを考慮すれば、ミニLEDは必須とは言えない……と考えられているのだ。
ディスプレイ面積が大きい大画面テレビは、遠くから見ることが多く、輝度の高さがPCやタブレットよりも重要になる。今後、ミニLEDの輝度が上がっていくと、既存のLEDを使うよりミニLEDを採用した方が良いと判断するメーカーが増えていくかもしれないが、結局はそれも有機ELのコストや品質と比較したうえでのこと。話はそれほど単純ではない。
そう考えると、PCやタブレット向けとしてのミニLEDはちょうど良い立ち位置にある。これらのアイテムは、有機ELにとってコストや生産量的な「隙間」にあり、全体輝度もテレビほどの必要性はないため、差別化がしやすい。そう考えると、日本でミニLEDが注目される製品群は「PCやタブレット」ということになる。iPad Proは、そこに良いタイミングで出てきた製品であり、今後、ほかのPCやタブレットの「高輝度化・高コントラスト化」に影響を与える存在だといえる。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
Comment
コメントする