日亜化学工業は街路灯やトンネル照明などに使われるオレンジ色の水銀灯(高圧ナトリウムランプ)の代替品となる発光ダイオード(LED)チップを開発した。虫が集まりにくい色合いはそのままに、水銀を一切使わず、即点灯・長寿命などの特徴を持つ。9月から本格出荷を始める。水銀製品への国際規制が強まる中、従来品からの置き換え需要を開拓する。
高圧ナトリウムランプと同じ1800ケルビン(K)の色温度を持つ照明用LEDの開発は世界初という。ロウソクの炎に近いオレンジ色で、虫を寄せ付けず、落ち着いた雰囲気を醸し出す。これまで高圧ナトリウムランプはトンネル内や農道、コンテナ置き場などで使われてきた。景観の保存を重視する欧州では街路灯としても普及している。
高圧ナトリウムランプと同じ1800ケルビン(K)の色温度を持つ照明用LEDの開発は世界初という。ロウソクの炎に近いオレンジ色で、虫を寄せ付けず、落ち着いた雰囲気を醸し出す。これまで高圧ナトリウムランプはトンネル内や農道、コンテナ置き場などで使われてきた。景観の保存を重視する欧州では街路灯としても普及している。
日亜化学は黄や赤など数種類の蛍光体の粒径や配合を工夫し、青色LEDの光源と組み合わせて新部材を開発した。高圧ナトリウムランプの下では、光が当たった部分の色は黒かオレンジに見えるが、新しいLEDチップなら、照明の下を通る人の服装や車の色などもはっきり識別できるという。
太陽光の下での色の再現性を100とした場合、高圧ナトリウムランプが1桁台なのに対し、新部材は70以上。「地域の保安・防犯にも役立つ」と同社マーケティング室の谷崎秀司室長補佐は指摘する。
水銀を使った製品に対する国際規制は強まる一方だ。環境汚染や健康被害を防ぐ目的で17年に発効した水俣条約により、20年末で水銀を使った電池や血圧計、蛍光灯などの製造・輸出入が禁止された。高圧ナトリウムランプなど産業用の水銀灯は当面、適用外となっているが、代替品の開発が進めば禁止に向かう可能性が高い。
水銀灯は点灯に10分、再点灯に30分程度かかるという難点もある。この点、LEDは即時の点灯・消灯が容易で、センサーと組み合わせれば人や車が近づいたときにだけ作動させることができる。調光機能を使い、街路灯の明るさを抑えることも可能だ。
オレンジ発光のLEDチップを組み込んだ照明器具の購入費用は、高圧ナトリウムランプに比べてやや高くなる見通しという。ただLEDの寿命は15年程度と長く、一般的な高圧ナトリウムランプの約3倍。「5年後に水銀灯を付け替えることを考えれば、かなり割安といえる」(谷崎氏)
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