寝室の照明はLEDより有機ELの方が自然に近い睡眠がとれる――。山形大学教授で有機ELの開発者として知られる城戸淳二教授が、徳山薫平・筑波大学教授らと、こんな共同研究をまとめた。

 共同研究は6月に英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に発表され、城戸教授が今月初旬の山大の記者会見で内容を説明した。  

研究では、25、26歳の健康な男性10人を対象に、1千ルクスの明るさのLED光と有機EL光を午後8時~午前0時までの4時間、座った姿勢で目の高さから当てた。その後、午前7時まで睡眠を取ってもらい、睡眠中のエネルギー代謝と体温を測定した。





 その結果、有機EL光を浴びた被験者は、LED光を浴びた場合に比べて、入眠後の深部体温とエネルギー消費量が下がり、その間の脂質酸化量が上がっていることが分かった。睡眠前に浴びる光が、LEDより有機ELである方が、より自然に近い、質の高い睡眠がとれることを示唆しているという。

 有機ELをLEDと比べると、多く浴びると体内時計を狂わせる可能性を指摘されているブルーライト(青色光)成分が少なく、面全体が発光するため、まぶしさ(輝度)も低い。今回の結果が、青色光成分が少ないなどの周波数特性によるのか、輝度の違いによるのかは今後、解明する必要があるとする。

 城戸教授は「質の高い睡眠のためには、寝室の照明は明るくし過ぎないようにし、LEDを使うにしても(オレンジ系の)電球色を選んだ方が良い」と話した。また、寝室で使える有機EL照明器具が、近く製品化できる見通しであることも明らかにした。

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