これまでベトナムで生産が行われてきたAppleの「AirPods」シリーズについて、2021年内に発表されるとみられている「AirPods(第3世代)」は中国で生産が行われる予定だと報じられました。報道では、Googleの「Pixel 6」も中国生産になるとされています。

AirPods(第3世代)が中国生産に切り替わると報じたのは、日本経済新聞社の英文媒体「Nikkei Asia」です。同社が2人の情報筋から得た情報によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、AppleはAirPods(第3世代)の生産をベトナムではなく中国で行う予定とのこと。

Appleは多くのプロダクトを中国で組み立てていますが、2016年頃に幕を開けた米中貿易戦争などを理由に「生産拠点を中国国外に移す」という対策を講じてきました。2019年に登場した「AirPods Pro」も発売当初は中国製のみでしたが、2020年5月頃から一部がベトナム製に切り替わっています。





この流れは2020年以降も続き、2020年11月には「MacBookの生産拠点を中国からベトナムに移転」と伝えられ、2021年1月には「iPadの生産拠点も中国からベトナムへ」と報じられましたが、今回のNikkei Asiaの報道によって、少なくともAirPodsについては逆転が生じていることが分かりました。

Appleが中国生産に回帰した理由は、COVID-19再拡大による渡航制限などにより、技術者のベトナム訪問が難しくなっていることが原因です。情報筋2人はAppleが「後々Airpods(第3世代)の生産の20%をベトナムに移転したい」と考えていると答えていますが、ベトナムは2021年8月時点でCOVID-19の第4波が直撃しており、市中感染は過去最多という状況。これに伴って一部地域の保健当局が工場に対して操業停止措置などを講じているため、ベトナムにおける生産の目処は立っていない状態です。

Airpods(第3世代)は順当に行けば2021年内に開催される新製品発表会でお披露目されるとみられていますが、この新製品発表会は9月ないしは10月に行われるはずであるため、「発表会に間に合わせたい」というAppleの思惑が今回の生産拠点の移転を促したと報じられています。

IT系マーケティング企業IDCのアナリストは「COVID-19の再流行と政府の対策により、生産ラインへの影響や生産能力のシフトが遅れていることは事実ですが、ベトナム政府がこのような厳しい措置を長く続けるとは思えません。このような厳しい措置を続ければ、自国の経済や製造業の発展に影響を与えることになるでしょう」とコメントし、生産拠点の移転はあくまで一時的なものであるという見方を示しています。

なお、Appleだけではなく、Googleも同様の状況に苦しんでいるとのことで、Nikkei Asiaは4人の情報筋が「Pixel 6は中国生産になる」と語ったと報じています。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ