
「買い替え需要や巣ごもり需要で市場は盛り上がったものの、当初の予想を下回った。21年全体では前年と比べて横ばいか微減になるとみている」―。富士キメラ総研の小林秀幸主任は国内テレビ市場をこう分析する。
JEITAがまとめた10月の国内薄型テレビの出荷台数は前年同月比13・3%減の36万9000台。29型以下が同26・7%増の4万5000台だったが、40―49型が同25・7%減の11万6000台と5カ月連続マイナス。50型以上が同14・4%減の12万7000台、30―39型が同5・4%減の8万1000台と4カ月連続マイナスだった。
JEITAによると、新興国の堅調なテレビ需要を理由に世界市場は26年まで横ばいか微増で推移する見通しだが、スマートフォンの高機能化や動画配信サービスの台頭もあり、長期的には市場成長の要因は乏しい。韓国のサムスン電子など価格競争に強いアジアのメーカーが大きくシェアを占めており、日系メーカーの苦戦が続いている。
世界市場では相対的に競争力を落としているものの、国内市場では日系メーカーが上位を占める。近年、国内市場ではテレビの大型化が進んでおり、サイズ別では50型以上の大型モデルの出荷台数が最も多く、各社は大画面、高付加価値製品で勝負する。
4月から順次発売となったソニーの「ブラビアXR」シリーズは、人の脳のように映像を認識する認知特性プロセッサー「XR」を搭載。液晶パネルモデルは50型から、有機ELパネルのモデルは55型以上の大型製品をそろえる。
ソニーグループは、テレビ販売台数の伸びなどを要因に、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野の22年3月期連結業績予想(国際会計基準)の営業利益を8月公表比200億円増の1900億円に上方修正した。高価格帯モデルで売り上げを維持しており、テレビ事業の収益改善につながっているという。
ただ、小林主任は「機能が充実してきた海外メーカーも日本でシェアを伸ばしつつある」と指摘する。中国の小米(シャオミ)は、実店舗を持たず開発に投資する戦略で製品の高機能化を進める。三菱電機がテレビの製造を2024年3月にも終了するなど、日本メーカーの撤退や事業縮小が続く一方で海外メーカーの存在感が高まる中、8Kや有機ELなど高機能品での差別化が今後の生き残りのカギを握る。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
Comment
コメントする