三菱マテリアル株式会社及びその連結子会社である三菱マテリアル電子化成株式会社は、従来の無機黒色顔料「NITRBLACK®(ナイトブラック)※1 UB-1」の技術をさらに発展させ、紫外線(以下「UV」)の透過率を従来比50%以上向上させた「NITRBLACK® UB-2」を開発しました。

高性能化が進む液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等の製品分野では、外部または機器内部からの余分な光を遮るために黒色の周辺材が使用されています。周辺材の基材は耐熱性が低く、その製造には、熱硬化技術(熱により化学反応を起こし、材料を硬くする技術)ではなく、より低温での処理が可能な光硬化技術(特定の波長の光を照射することで化学反応を起こし、材料を硬くする技術。黒色顔料を混合した光に反応して硬化する樹脂を用いる)が活用されています。





しかし、従来の技術では、黒色顔料が余分な光(可視光域、人の目で見える光の波長の領域)だけでなく硬化に必要なUV域(可視光よりも短い紫外線の波長の領域)の光も吸収してしまい、硬化が不十分となるという課題がありました。

この課題に対し、当社は2017年、独自の窒化還元技術※2により、高いUV透過性を有する無機黒色顔料「NITRBLACK® UB-1」を世界で初めて開発しました。可視光域の光に対しては十分な吸収性能を発揮しつつ、UV域では高い透過性を有して周辺材の硬化を促すことができる画期的な材料として、お客様からも高い評価をいただいております。

このたび、お客様からのさらなる性能向上のご要望に応えるべく、「NITRBLACK® UB-1」の技術を発展させることにより、可視光域の吸収性能は維持しつつ、UV域の透過性を50%以上向上させた「NITRBLACK® UB-2」の開発に成功しました。「NITRBLACK® UB-2」を用いることにより、樹脂硬化のためのUV照射時間を従来比で4分の1以下(当社試験結果)に短縮でき、より厚い樹脂膜の硬化が可能となります。今後更なる高性能化が進む液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等向けでの利用拡大のほか、遮光性を有する接着剤等、幅広い用途への展開を見込んでおり、お客様のご使用時のエネルギー効率の改善や温室効果ガスの削減も期待されます。

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