大型パネル市場(テレビ)では、まだまだ液晶が主流であり偏光板が必要である。
偏光板を構成する部材は、市場規模の小さかった時から市場を占拠していたが、今になっても依然日本メーカーが強い分野だ。
まず、偏光板の主要部材である偏光子(PVA)は、クラレ、三菱ケミカルの2社がグローバル市場の8~9割のシェアを保持し続けている。
偏光子を挟む光学フィルムにはTAC(トリアセチルセルロース)フィルム、PETフィルム、PMMAフィルム、COPフィルムがあり、このうち単なる保護の役割をするプレーンTACは、PETやPMMAにより一部置き換えが進められ、6:4(TAC:非TAC)の割合で採用が落ち着いている。
PETフィルムは、東洋紡が1社供給している。
偏光板を構成する部材は、市場規模の小さかった時から市場を占拠していたが、今になっても依然日本メーカーが強い分野だ。
まず、偏光板の主要部材である偏光子(PVA)は、クラレ、三菱ケミカルの2社がグローバル市場の8~9割のシェアを保持し続けている。
偏光子を挟む光学フィルムにはTAC(トリアセチルセルロース)フィルム、PETフィルム、PMMAフィルム、COPフィルムがあり、このうち単なる保護の役割をするプレーンTACは、PETやPMMAにより一部置き換えが進められ、6:4(TAC:非TAC)の割合で採用が落ち着いている。
PETフィルムは、東洋紡が1社供給している。
PMMAは偏光板メーカーの住友化学、日東電工、LG化学が手がけるが、LG化学は偏光板事業を中国メーカーへ売却。住友化学、日東電工も中国メーカーへの技術供与を進めており、今後中国で偏光板の生産が進んでいく流れだ。
保護だけでなく、位相差などの機能を持つフィルムとしては、TACやPMMA、COPが採用されており、TACは富士フイルム、コニカミノルタが2強で、すでに保護TACの量は追わずに機能フィルム(位相差)への注力展開を進めている。コニカミノルタは新たにPMMAフィルムの「SAZMA(サツマ)」ブランドの展開も図っている。
位相差のCOPは日本ゼオンが1社供給の市場であったが、コニカミノルタが「SANUQI(サヌキ)」ブランドで参入を果たし、2社供給体制が始まりつつある。
さらに、この保護・偏光子・位相差で構成される偏光板そのものを保護するPETフィルムもあり(最終製品には残らない)、こちらも日本メーカーの東レが強い。同社は離型フィルムで高シェアを持つが、先般発表した新製品のOPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルムでは光学部材への参入も視野に入れており、今後プレーンな保護フィルムはTAC、PMMA、PET、OPPフィルムとなっていく可能性もある。
これら偏光板部材メーカーは、大型だけでなく中小型にも製品を展開している。TACフィルムの老舗でありトップメーカーである富士フイルムとコニカミノルタの取り組みについてご紹介する。中小型市場では液晶→有機EL、薄型化、軽量化が顕著だが、両者は他社が追随できないレベルの高機能光学部材を展開している。
富士フイルムでは、長年培った塗布技術を用いて、10μm以下の薄さを実現する転写フィルムを展開している。有機ELスマホの円偏光板部材として用いられ、すでにハイエンドスマホではディファクトスタンダードだ。「4分の1λ(ラムダ)」と「2分の1λ」の機能を持つこの転写フィルムは、基材とするフィルムに機能を付加するのではなく、機能そのものだけを残すことができるため、10μm以下をたやすく達成できるという。さらに、フォルダブル向けにPVAに変わる薄型機能部材の検討を進めている。これも、塗布技術を用いた超極薄な光制御部材であり、フォルダブルの偏光板レス化に攻め込んでいく。
コニカミノルタでは、フォルダブルの最表面部材を視野に、極薄フィルムを提案していく。延伸タイプのフィルムでは、10μm以下レベルの薄さを実現することは元来困難だといわれているが、同社はこれを実現させる技術力を持つ。
COPフィルムのサヌキについては、大型から中小型向けまですべてに展開する戦略だ。有機ELディスプレーテレビ向けに円偏光板(4分の1λ板)の展開も計画している。また、薄型化も可能なため、中小型偏光板向けで保護/位相差フィルムとして展開を進めるほか、屈曲性も高いという特性から、フォルダブルディスプレーのカバーウィンドウ向けに厚さ13~20μm品を開発中だ。
ディスプレー市場は、コロナ特需という要因を除けば成熟期にあり、右肩上がりの急カーブが見込める市場ではないものの、薄型化、高解像度化、高色域化、有機EL化やフレキシブル化など新しい部材が求められるアグレッシブな変化が常にある。
また植物由来原料のTACフィルムは、リサイクル性にも優れ環境対応という追い風も見逃せない。
今後、偏光板そのものは中国への生産シフトが進むと見られるが、それを構成する部材については、日本メーカーの牙城は崩れそうもない。
また植物由来原料のTACフィルムは、リサイクル性にも優れ環境対応という追い風も見逃せない。
今後、偏光板そのものは中国への生産シフトが進むと見られるが、それを構成する部材については、日本メーカーの牙城は崩れそうもない。
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