エレクトロニクスの聖地とも言える東京・秋葉原から、千葉県いすみ市の旧中川小学校校舎に本社を移す「JAPANNEXT(ジャパンネクスト)」。高性能で安価な製品を世に送り出す知る人ぞ知る液晶ディスプレーメーカーの社長を務める。
「当初はマーケティングに予算を割けず、PR不足だった。インターネットで『ジャパンネクスト』と検索すると、関連ワードで『怪しい』と出る。しかも社長は外国人。この会社はいったい何だ、と」
自虐ネタも交えて、 流暢りゅうちょう な日本語を話す陽気なフランス人である。
「当初はマーケティングに予算を割けず、PR不足だった。インターネットで『ジャパンネクスト』と検索すると、関連ワードで『怪しい』と出る。しかも社長は外国人。この会社はいったい何だ、と」
自虐ネタも交えて、 流暢りゅうちょう な日本語を話す陽気なフランス人である。
子どもの頃から「ドラゴンボール」といった日本の漫画やテレビゲームに熱中した。仏紙「ル・モンド」が取り上げる日本のニュースにも目を向けた。「内閣支持率が10%を切っても、政権が続いていた。フランスではあり得ない政治システムだ」。日本への関心はますます高まっていった。
15歳の夏休みに初来日し、18歳まで毎年、夏休みを利用して日本にホームステイした。ヒッチハイクやキャンプをしながら日本中を旅して人情に触れた。
フランスの大学を卒業後、慶応大に留学した。在学中にサーフィンのために都内からよく通った一宮町で2006年、たった一人で起業した。液晶ディスプレーの開発や販売などを手掛ける会社は次第に業績を伸ばし、その後、秋葉原に本社を構えた。
当初は、ソニーの携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」を欧州や米国向けに輸出する仕事に携わった。ある日、複数の画面で作業中、「大きな1画面があれば」と思い付き、17年に世界初の大型4K曲面液晶ディスプレーを開発、発売した。
液晶ディスプレーは参入障壁が高く、他社が簡単に複製できない。その一方で、新たな技術や需要が次々に生まれる。「好奇心の強い自分に合っている、挑戦しがいのある分野だ」と感じている。
テレワークの浸透で新たなビジネスチャンスもつかんだ。以前から開発に力を入れていた小型のモバイルモニターの需要が新型コロナの感染拡大で高まり、売り上げはコロナ禍前と比べ、400%伸びたという。
会社を設立した一宮町には、今でもカスタマーサポート部門の事業所を置く。しかし、事業の拡大とともに手狭となり、いすみ市が民間の売却先を探していた空き校舎に本社機能や大半の業務を移すことにした。雇用の創出といった一義的な地域貢献だけでなく、パソコン教室を開催したり、ふるさと納税の返礼品として自社製品を提供したりすることで地域に根ざした企業を目指す。
日本のものづくりへのリスペクトも強く、「かつてのウォークマンのような商品を日本から世界に発信したい」と意気込む。社名のジャパンネクストにはそんな思いを込めている。
ベッカー・サムエル 1981年、仏エクサンプロバンス市生まれ。一宮町在住。仏国立東洋言語文化学院卒業後、慶応大学に留学し、在学中に会社を起こした。サーフィンを通じて知り合った日本人女性と結婚。休日は2人の娘とバーベキューを楽しむ。
※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ
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