Screenshot 2022-07-21 07.21.45中国のスタートアップが新型太陽電池の大型パネルで世界初の量産を始めた。薄くて曲がる「ペロブスカイト型」と呼ばれるタイプで、製造コストは既存の3倍だが、将来シリコン型の半分まで下げられる可能性がある。スマートフォンへの搭載を想定する。もともと日本人研究者らが開発した技術で、国内電機大手は新規投資に消極的なこともあり中国が量産で先行した形だ。

中国の大正微納科技が8000万元(約16億円)を投資して江蘇省で年間生産能力10メガ(メガは100万)ワットのラインで7月に量産を始めた。縦40センチメートル、横60センチの量産に適した大型パネルを生産し、細かく切り分けて中国のスマホやタブレットメーカーなどに納入する。2023年には2億元を投じ能力を100メガワットに拡大する。李鑫最高技術責任者(CTO)が取材に応じ明らかにした。





新技術は09年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らが発明した。変換効率は現状で約10%とシリコン型の半分程度だが、壁や窓、車など様々な場所に設置できる。工程が簡単で製造コストを下げやすく、脱炭素の切り札としてノーベル賞候補と期待されている。センサー用など小型ではあったが、大型の量産は初めて。

太陽電池は京セラやシャープなど日本勢が得意としてきたが価格競争で採算が悪化し事業を縮小し、中韓国勢に開発の主導が移っている。李CTOはかつて宮坂氏のもとで学んだ技術者で、中国に戻って研究を続けた。宮坂氏も開発を支援した。

ペロブスカイト型はシリコン型の代替のほか、プリンターで印刷した文字で発電したり、車に塗って車体全てを太陽電池にしたりと、全く新しい用途の開拓を通じて広く普及すると期待されている。

インドの調査会社アステュート・アナリティカは、ペロブスカイト型の世界市場は22年から年平均29%前後で成長し、27年には20億ドル(約2700億円)以上になると予測している。

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