Omdiaの最新ディスプレイ長期需要予測調査によると、2023年のディスプレイのエリア需要は前年比6.2%の伸びが見込まれている。インフレが和らぎ、金利引き上げが鈍化するにつれ、需要の落ち込みは底を打ち、それにより2023年下半期までの需要正常化に向けた回復の道が開けてきた。

2022年のディスプレイ需要は通常の水準を下回るとともに、COVID19(新型コロナウイルス感染症)の影響を回避したとみられる。世界的なインフレやサプライチェーンの混乱、原材料コストの上昇によるエネルギー危機と連動して需要は急激に減少し、前年比6.9%減となっている。2022年通年ではフラットパネルディスプレイ史上初めて、エリア需要がマイナス成長を記録する年となるだろう。

しかし、Omdiaのディスプレイ調査部門の上級主任アナリストRicky Park氏によると、世界的なインフレが鈍化し、経済が底を打っているという兆候が見られれば、「1年以上にわたって下落してきたパネル価格と小売価格は消費者心理を刺激し、とりわけ価格が急低下してきた超大型テレビ需要の回復速度が顕著となる可能性がある。これがエリア需要の急速な回復へと導くだろう」としている。








大手のパネルメーカーは、超大型サイズのテレビ市場を先取りするために70インチ以上のさまざまなサイズのテレビ製品を大量生産し、生産工程の効率を最適化することにより生産コスト削減を最大化しつつある。

また、OLED TV(有機ELテレビ)は画質の向上と、価格の引き下げにより市場シェアを上昇させることが見込まれている。70インチ以上のテレビ市場は2022年の1800万台から15%以上拡大して2023年に2100万台となると予想されている。

このエリアは、2023年に初めて全テレビディスプレイ市場のうち20%を突破すると可能性がある。テレビディスプレイは、全フラットパネルディスプレイの中で約80%のエリア出荷を占め、テレビディスプレイ需要の回復がフラットディスプレイの全エリア需要予想に影響を及ぼす可能性も出てきている。

しかし、設備稼働率を引き下げるため、パネルメーカーは前例のない取り組みを続けているにも関わらず、セットメーカーの在庫水準はまだ正常化していない。
これは引き続き2023年上半期のパネル需要市場にとって重荷になっていくと予想される。

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