Screenshot 2022-11-23 21.29.06スマートフォンなどに載るディスプレーの生産で中国への集中が加速している。中国の国別シェアは約7割に達した液晶パネルに続き、高精細な有機ELパネルでも2022年に4割を超える見通しだ。日本はパネル調達の中国集中を避けるため、かつて競った韓国勢と連携する工夫などが必要な局面となっている。

米調査会社DSCCは10月、有機ELで中国の国別シェア(生産能力ベース)が22年に43%に達するとの予測を公表した。巨額の補助金を背景に、京東方科技集団(BOE)や華星光電技術(CSOT)が19年ごろから大増産に入り、韓国(55%)を猛追している。

有機ELの開発・製造技術には液晶パネルとの共通点が多いが、より熟練した技術者のノウハウが欠かせない。DSCCの田村喜男アジア代表は「中国勢は18年ごろから、サムスン電子など韓国勢から技術者を大量に引き抜いて不足を補った」と指摘する。





液晶パネルで先行した日本メーカーから00年ごろ、韓国・台湾勢に技術者が流出し、その後にシェアが逆転したのと同じ歩みだ。その液晶パネルでは、中国のシェアは22年に67%まで高まる見込みとなっている。

ミニ発光ダイオード(LED)やマイクロLEDなどの次世代技術もある。ただ、ミニLEDは液晶パネルのバックライトに小型LEDを使う技術であり、基本は液晶パネルだ。マイクロLEDは自らカラー発光するが、低価格化が難しく用途が限定的とされる。

つまり、有機ELで中韓のシェアが逆転すれば、ディスプレー産業での中国優位が事実上確定してしまう。中国勢の有機EL生産は現在、大半がスマホ用の中小型パネルであり、テレビ用など大型を手がける能力を持つか否かが焦点だ。

このため韓国は「政府が大型有機ELの技術・製造装置について、中国への移転・販売にストップをかけている」(田村氏)。一方、日本の有機EL専業のJOLED(ジェイオーレッド)はこのほど、資本提携先であるCSOTと65インチの大型パネルを共同試作した。

日本の電機業界の関係者には、半導体や液晶パネルで日本を追い詰めた韓国への警戒感が残る。JOLEDの動きには韓国メーカーをけん制する側面もある。ただ、現実には韓国勢は大型液晶パネルの投資競争で中国勢に敗れ、有機ELでも守勢に回りつつある。

ディスプレーの買い手や製造装置の売り手として関与していく日本にとって、取引先が1カ国に集中するのは健全ではない。韓国ともバランス良く連携する知恵が必要なのではないか。

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