スマートフォン市場におけるインドの存在感が高まっている。そろそろ人口でも中国を越えると言われているのだから、それも当然かもしれない。今回はスマートフォンを強化しているインドメーカーのLAVAを取り上げたい。  

14億弱の人口に支えられ、スマートフォンにおけるインド市場の存在が大きくなっている。2022年第3四半期(7~9月)、世界のスマートフォン出荷台数は2億9780万台、そのうちインド市場の出荷台数は4460万台なので5分の1近くを占めている。ちなみに前年同期と比較すると、世界は9%のマイナス、インドでは6%のマイナスとなっている(Canalys調べ)。  

今四半期こそマイナスだが、インド市場のここ2年の成長率はほぼプラス。2022年第2四半期は前年同期比12%増、2021年Q2は88%増と驚異的な伸びを示している。この時期、世界はコロナが猛威をふるっており、インドでも成長要因はオンラインで授業や業務をこなす若年層だったという。  

早々からインド市場に目をつけていたシャオミは、同国で10%近くのシェアを占めておりトップ。ハイエンドはサムスンが強く、vivo、OPPO、realmeと中国ベンダーが続いている。なかでも、ここ数四半期ではOPPOの伸びが目覚ましい。





インド市場の成長要因として、人口増に加え、5Gがある。同国では今年一部の都市で5Gサービスが始まった段階。しかし、消費者の期待は高そうだ。
Counterpoint Researchの調べによると、スマホユーザーの50%が今後1年以内に端末の買い替えを計画しているとのこと。ブランドとしては、サムスン、アップル、OnePlusが挙がっており、価格帯としては、20000~30000インドルピー(3万5000円~5万2000円)に集中している(24%がこの価格帯を選択)。

 その調査では、現在所有する端末の価格帯、その前に所有していた端末の価格帯も尋ねているが、20000~30000インドルピーを現在所有している人は20%、その前の端末になると15%となり、少しずつ高価な価格帯のスマートフォンにシフトしていることがわかる。

 一方で現在使っているスマートフォンでトップ3に入っているシャオミとrealmeは、将来購入したいブランドトップ3には入っていない。サムスンのみが両方に入っており、インド市場におけるサムスンブランドの強さを裏付けた。

今回紹介するLAVAは、実はここには入っていない。というのも、LAVAは今もフィーチャーフォンが主力(そのほか、ノートPCやタブレット、アクセサリーも展開している)。LAVAは新興ではなく、インド国内では以前からあるメーカーで、フィーチャーフォンではインド2位、世界3位で、スマートフォンは今後強化するという段階だ。

 そのLAVAがディーワーリー(インドの正月、今年は10月24日)に合わせて発表したのが「Blaze 5G」だ。5Gの需要増に合わせ、10000ルピー(約1万7000円)を実現。5Gスマホでは最安をうたう。

 スペックは、8コアのMediaTek Dimensity 700をベースとし、RAMは4GB、ROMは128GBで、microSDで拡張可能。画面サイズは6.5インチ、カメラは3眼でメインは50メガ、フロントカメラは8メガなど。OSはAndroid 12を搭載する。5Gはインドで提供される5Gの全周波数帯をサポートする。

 製品ページからもわかるように、基本的には若者をターゲットとしている。インドの記者仲間によると「(LAVAは)カッコいいブランドではなく、フィーチャーフォンのイメージ」とのことだった。

 LAVAはインドメーカーながら、デザイン、設計、ハードウェア、ソフトウェアと自社ですべて設計できる体制を持つ。研究開発に力を入れており、技術力を大きな差別化としているようだ。

 RAM、ROM、カメラなどカスタマイズできる「myZ」など、ユニークなアプローチをとっており、フィーチャーフォンで培ったブランド力が、フィーチャーフォンユーザーがスマホにアップグレードするにあたって有利に動くという勝算と思われる。

 インドも中国との関係が不安定な中、このような国産ベンダーが市場で存在感を増してくる可能性は大いにありそうだ。

 なお、LAVAはすでにアジア、南米でも展開している。

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