富士康科技集団(フォックスコン)が、米アップルのiPhoneを製造する世界最大の拠点で新たに採用した従業員に対し、退職を条件に1万人民元(約19万円)を支給すると発表していたことが分かった。従業員による抗議を抑え込むための措置。この抗議により、従業員数百人が治安部隊と衝突する事態となっていた。

 上記の手当の申し出は、同社の人事課が23日に従業員に向けたテキストメッセージで発表した。中国中部・河南省鄭州市にある当該の工場では同日、従業員による抗議デモが暴力的な事態を引き起こしていた。

 CNNが確認したテキストメッセージの内容によると、会社側は従業員に対し敷地内の寮に戻るよう要求。その上で、退職に応じるなら8000人民元を支給すると約束している。工場から出発するバスに乗るなら、2000人民元を上乗せするとも述べている。






22日夜に発生した抗議デモの背景には、給与体系や新型コロナに関連した居住環境への不満の爆発があった。デモはやがて暴力化し、従業員は大勢の治安部隊と衝突した。

ソーシャルメディアに出回った動画には、防護服に身を包んだ法執行機関の一団がデモ参加者を警棒などで殴る様子が映っている。一方で柵を壊したり、警官に向かってものを投げたりする従業員の姿も確認できる。警察車両をひっくり返す様子も見られる。

デモは23日の午後10時前後にほぼ沈静化し、目撃者によると従業員らは自分たちの寮へと引き上げていった。フォックスコンからのメッセージを受け取ったことに加え、鎮圧がより激しいものになることへの懸念もあったとみられる。

フォックスコンの鄭州工場は先月、新型コロナの感染拡大に見舞われ、封鎖を余儀なくされた。その際、従業員の大量流出も起きていた。これを受け同社は大規模な求人活動を実施。広告に対して10万人を超す応募があったと中国国営メディアが伝えていた。

※記事の出典元はツイッターで確認できます⇒コチラ